「女性だから」という理由で日曜学校の教員を解雇される。

2006/08/22 10:13 Written by Maki K Wall@駐米特派員

このエントリーをはてなブックマークに追加


アメリカ市民の平等を約束する法律の中で、最も重要な位置を占めるのが、"Civil Rights Act" (1964年に制定された、いわゆる日本語では「公民権法」と訳されるもの)。これは公民が人種、肌の色、信仰、性別、そして国籍が理由となって差別されることを許さず、法の下ではみな平等であると規定した法律です。この法律はマーティン・ルーサー・キング Jr.氏などが指導者となって起こった、アフリカ系アメリカ人のための人権運動の結果として有名ですが、この法律のもうひとつの大切な要素は、「性別による差別」を禁じたとして、女性が法律で平等を約束されたことでもあります(同法律の第7章に明記)。

この公民権法により女性が社会の場で差別されることは違法となり、仕事面でも活躍の場が増えるきっかけになったのですが、この法律をまるっきり無視した時代遅れな手紙を受け取り、途方にくれている女性がニューヨーク州にいるとか。同州北東に位置するウォータータウンという人口26,000ほどの小さな町、ウォータータウン。ここのとある教会でつい最近まで日曜学校の教師をしていたマリー・ランバート先生は、11年の教員キャリアを持つ女性です。同教会の礼拝にも40年前から毎週通っていたという、敬虔なクリスチャンである彼女は毎週子どもたちに神様について教えるのが、楽しくて仕方がありませんでした。

ところが先週の木曜日。教会の運営責任者から手紙を受け取り封を開いてビックリ。そこには、

「日曜学校の教員のポジションは本日をもって解雇されました。女性は神を学ぶ際には声を発せず、従順する態度で接するべきであり、男性より威厳のある地位にいることは許されません。それゆえあなたが教員で男子生徒を教えるのは間違っています。イブの上にアダムがおり、イブ(女性)は罪のある存在です」

うわっ……(汗)。

さらに手紙の終わりには「あなたの今後のご協力、うれしく思います」と書かれ、教会側は有無を言わせない強引さでランバートさんをクビにしてしまったのです。ちなみにこの手紙にサインしていたのはケンドラ・ラボウフという「女性」。しかもこの人は町議会役員の奥さんで、夫婦そろって2年前からこの教会のメンバーになっていたそうです。社会的地位のある人々でありながら、なんなのでしょうねぇ、この態度は?

ランバートさんはこのような形で解雇されてしまったことを大変残念に思っているそうですが、教会のこと自体を嫌いになったわけではなく今後もメンバーとして毎週日曜日のミサには参加するつもりだとか。

今後この問題がウォータータウンの市民にどのように受け取られるか、注目していきたいと思います。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.