母乳で育てられた赤ちゃん、将来ストレスに強い子どもに育つ?

2006/08/14 11:04 Written by Maki K Wall@駐米特派員

このエントリーをはてなブックマークに追加


母乳は新生児に必要な栄養素がたっぷりで、赤ちゃんの病気を予防する免疫も含まれていることは周知の事実。さらに最近の研究結果では、母乳によって子どもは精神的な面でも恩恵を受けていると分かったそうです。スウェーデンの研究者スコット・モントゴメリー氏によると、母乳で育てられた子供は合成ミルクを与えられた子どもより、将来神経質な性格になるリスクが少ないのだそうです。

この研究は児童9,000人を対象に行われ、彼らの誕生からの精神的成長をモニターしたもの。その中で、10歳の親の離婚経験を持つ子どもたちの統計を調べたところ、母乳で育てられた対象は、そうでないグループに比べてストレスに対し上手く対応できる性格に成長しているのだとか。

もちろん母乳のどんな成分がこの結果を引き起こしているのかまでは今回の研究では特定できなかったそうですが、一説では授乳は生まれて間もない子どもと母親が、密なスキンシップを持てる大切な時間であり、この時に得られた安心感や満足感が子どもの将来の心の安定にも繋がっているのではといわれています。モントゴメリー博士は「母乳の研究をすればするほど、その利点が浮き彫りになってきます。進化の過程で自然に行われていた行為が個人の成長にここまで関係しているのです」と語り、その大切さを説いているそうです。

ただし今回の研究結果や、アメリカで支持を受けている母乳促進運動の影響で「合成ミルクで育てられた子どもは、母乳で育てられた子どもよりも劣る」という観念が世間に広がってしまう可能性があるということは、個人的にはどんなもんかとも思うのですが……。母乳を与えたくてもそれが出来ないお母さんだっているワケですし、この「母乳優勢」の意見が産後のストレスになることも十分に有り得ます。ただでさえ、出産後はホルモンのバランスやら生活の一転で精神状態が不安定になってしまいがちですし。

子育ての良し悪しは「おっぱいをあげるか、あげないか」だけではりません。他にもいろいろな親の努力の積み重ねがあって、子どもの成長に影響を与えていくのではないでしょうか。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.