学童保育が給食導入を検討、食中毒や栄養の偏りを懸念して。

2006/07/17 09:53 Written by コジマ

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もうすぐ子供たち待望の夏休みが始まるけれど、お母さんたちの悩みのタネが昼食。夏休みの間は給食が出ないため、子供の昼食を用意しなくてはならないのだ。これは、学童保育に子供を預けているお母さんでも同じで、夏休み期間中や土曜日は午前中から子供たち受け入れてくれるのだけれど、これまで弁当を持参すること原則としていた。しかし、季節がら食中毒が心配されるだけでなく、最近はカップめんや菓子パン、出来合いの弁当を子供に持たせる親が増えているようで、そうした栄養面からも、全国の学童保育で給食の導入が検討されているのだ。

学童保育は、働く保護者を支援するために放課後から夜まで児童を預かる保育施設。厚生労働省の調査(2001年)によると、全国に約1万2000施設ある。近年は共働きの家庭が増えるなか需要が高まっているのだけれど、全国小学校約2万3000(同調査より)の半数ほどしかなく、保育所と同じく入所したくても受け入れてもらえない「待機児童」も多いそうなのだ。運営形態は、自治体が設置して運営する「公設公営」(約半数)のほか、自治体が設置して民間(社会福祉法人や父母会など)に運営を委託する「公設民営」(約3割)、民間が設置・運営する「民設民営」(約2割)の3種類がある。

学童保育は、基本的に放課後から保護者が迎えに来るまでの間、遊んだりおやつを食べたり宿題をしたりするところなのだけれど、夏休みなどの長期休暇の場合は午前中から預かってくれるのだ。ぼくも学童保育に入っていたのだれど(ぼくの地域では「学童クラブ」と呼んでいた)、同じ小学校の仲の良い友達のほか、別の小学校の友達ができるなど、結構楽しかった思い出がある。通学路とは違う方向だったので、「幽霊屋敷」を発見したり、吠えまくる犬に石を投げて飼い主に追いかけられたり、いつもと違う駄菓子屋に寄ったりなど、学童クラブっ子しか味わえない体験もたくさんしたのだ。

話が脱線してしまったけど、今回、問題となっているのは夏休み期間中の学童保育での昼食。学校と違って給食がないため、原則的に弁当を持参しなければならない。働くお母さんにとって、早起きして弁当を作るのは大変な作業なのだ。ぼくの母親も、夏休み期間は毎日作ってくれたなあ。当時は気にも留めなかったけど、今思い返してみると非常に頭が下がることをしてくれていたのだ。

しかし、こうした手作り弁当を持ってくるのは3〜4割だという。大半がカップめんや菓子パン、出来合いの弁当を持参し、なかには何も持ってこないという子供までいるのだとか。しかも、どうやら経済的な理由ではなさそうなのだ。給食導入の一番の理由は、こうした栄養状態を顧みない親を持つ子供を見るに見かねて、というのが実情みたい。

また、近年の気温上昇から手作り弁当の食中毒が懸念されている。一応冷房の効いた屋内に保管しているとはいえ、ちゃんと冷ましてから弁当箱に詰めないお母さんも多いのではないだろうか。そういや、ぼくが少年野球をやっていたとき、みんな炎天下に弁当を置いていたのだけれど、かなり危険な行為だったのだ。よく食中毒にならなかったなあ。

この夏休みに給食導入を決定している施設は、読売新聞に取り上げられているだけでも東京都三鷹市の民設民営「学童保育&フリースペース げんこつ組」、埼玉県越谷市の27施設、山口県萩市の18施設とかなり多い。福岡県飯塚市(旧穂波町)では4年前から導入しており、前述の手作り弁当が3〜4割であとはカップめんや菓子パンというのは、ここの職員労働組合が調査した結果なのだ。

学校給食は、貧困救済と食事を通じた教育が目的となっている。決して保護者が楽をするために設けられたものではないのだ。学校給食法では学童保育での給食は規定していない(義務でない)うえに、目的も明らかに違ってくる。「弁当を毎日作るのが大変」という保護者の要望が強いようだけど、「夏休み期間中だけ」と割り切って、子供のために多少早起きして作ってあげてほしいのだ。今はその意味が分からなくても、きっとぼくのように成人してから感謝してくれると思うし、親の深い愛情を感じて自分の子供にも同じように作ってあげようという気持ちが生まれるのではないだろうか。

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