「新たな自分探しの旅に出たい」、中田英寿選手が現役引退を表明。

2006/07/03 23:36 Written by コジマ

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6月22日に行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)1次リーグのブラジル戦で1-4と敗れた後、1人でピッチにいつまでも横たわっていたのが印象的だったサッカー日本代表の中田英寿選手。あの行動は、これまでの人生すべてをかけてきたサッカーへの名残を惜しむものだったのだ。中田選手は3日、ファンとの交流の場として活用していた自身の公式サイトnakata.netで現役引退を表明した。

1998年のW杯フランス大会以来、中心選手として“不言実行”を旨に日本代表を引っ張ってきた中田選手。引退表明も突然だったのだ。公式サイトでは、これまでのサッカー人生を“旅”になぞらえて語っている。

「半年ほど前から、ドイツW杯を最後に約10年間過ごしたプロサッカー界から引退しようと決めていた。新たな自分探しの旅に出たいと思ったから。(私の)気持ちを分かってくれるみんなが日本サッカーの将来を支えてくれると信じている」(読売新聞より)
「何か特別な出来事があったからではない。その理由もひとつではない」(朝日新聞より)

22日のブラジル戦前、中田選手は「この試合が最後にならないことを信じ続けて……」と引退をほのめかすメッセージを寄せており、今春のアジアサッカー連盟(AFC)のインタビューにも「06年W杯では個人的な成功を収めたいと強く思っている。たぶんこれが最後のチャンスだろう」と語っていたのだけれど、実は、01年ごろからマネジメント事務所のサニーサイドアップと現役生活の区切りについて話し合っており、昨年の12月の時点で引退を決めていたようなのだ。代理人やサニーサイドアップ側は現役続行を望んだのだけど、本人の強固な意志の前に説得を諦め、今回の引退表明となった。

マスコミに発表された引退声明としては、「自分が100%のモチベーションでやっていきたい。それができなくなった時点で引退を決めた」と語っている。また、「ブラジル戦後、サッカーを愛してやまない自分がいたことが分かった」と再確認している。それだけに、今回の引退はとても惜しい気がしてしまうのだ。

日本代表として、そして海外リーグでの日本人選手進出の先鞭を着け、文字通り日本サッカー界を牽引してきた中田選手。そのストイックな姿勢と多くを語らないながら痛いほど伝わってくるサッカーへの情熱と愛情に共感する人も多かったのではないだろうか。多くの日本人に海外のサッカーを知らしめ、日本サッカーのレベル向上を心から願い、貢献してきた功績は、日本人サッカー選手として最大の賛辞を贈るべきなのだ。

公式サイトで「今後、プロの選手としてピッチに立つことはないけれど」としながらも、「サッカーをやめることは絶対にないだろう」としているので、なんらかの形でサッカーに関わっていきそうなのだ。それにしても、同じく公式サイトにある

「みんなの声を胸に、誇りを失わずに生きていく。
そう思えればこそ、この先の新たな旅でどんな困難なことがあろうと
乗り越えていけると信じられる。」
「これまで一緒にプレーしてきたすべての選手、関わってきてくれたすべての人々、
そして最後まで信じ応援し続けてきてくれたみんなに、心の底から一言を。
“ありがとう”」

には、強く心を揺さぶられ、涙が止まらなくなったのだ。うーん、何となく1つの区切りを迎えたような感じ。ラモス瑠偉やプロ野球で長嶋茂雄が引退したときも、同世代の人はこんな気分だったのかなあ。

本当にお疲れさまでした。イチロー選手や松井秀喜選手同様、あなたはぼくらの世代にとって誇るべきヒーローでした。こちらこそ本当に“ありがとう”。


元日本代表、城彰二選手のコメント
「彼らしいと言えば彼らしい辞め方だなという気がしましたけど、ぼくとしても(29歳での引退は)まだ早いなと、残念だなと思いますよね」

次期日本代表監督候補、イビチャ・オシム監督のコメント
「こういう決断することは非常に大きかったかもしれないが、この後何をしたいかは彼が決めること。彼のように日本のサッカーに対して貢献した人間はいない。サッカー界にとっては残念だけど。彼が何らかの形でサッカー界で仕事を続けることを祈っている」

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