英バッキンガム宮殿衛兵帽の値段は13万円、年間で1300万円に。

2006/06/14 23:56 Written by コジマ

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英ロンドンはバッキンガム宮殿の前で、直立不動で警備を行う衛兵。真紅の制服に黒いもこもこの帽子をまとい、まるでゼンマイ仕掛けのように動く近衛兵の交代は、ロンドンの観光名物でもある。この衛兵がかぶっている帽子は、本物の熊の毛皮でできており、1つのお値段はなんと13万円もするのだそう。以前からこの毛皮製帽子に反対していた動物保護団体が化学繊維の代用品を提案したのだけれど、「着用に不都合が生じる」として採用を見送られたのだ。

英国の近衛兵は、近衛騎兵第1連隊(ライフガード)と第2連隊(ブルーズ・アンド・ロイヤルズ)、近衛歩兵第1連隊(グレナディア・ガーズ)、近衛コールドストリーム連隊(コールドストリーム・ガーズ)、近衛スコットランド連隊、近衛アイルランド連隊、近衛ウェールズ連隊の7つに分けられるのだけれど、騎兵隊は黒い帽子をかぶっていないのだ。

赤い制服に熊皮の黒い帽子というのはスコットランド兵の民族軍装だそうで、防寒のためと、神聖な動物である熊の毛皮を身に着けることによって戦功と無事を祈ったのだという。昔はあんな派手派手な衣装で戦場に出ていたなんて、今の迷彩色主流の軍装からは考えられないのだ。

今回問題になっているこの帽子なのだけれど、もともとの意味である霊的な意味あいが薄れている現在でも、きちんと本物の熊の毛皮を使っているのだそう。カナダ政府が管理する団体を通して毛皮貿易商から手に入れているというこの帽子は、1つの値段が平均650ポンド(約13万7000円)で、近衛兵すべてに支給すると年間6万4200ポンド(約1360万円)もかかるのだとか。この支出も英国民にとっては問題だけど、動物愛護の観点から見ると熊の毛皮を使っているのが許せないそうなのだ。うーん、たしかに、本来の目的が薄れているのにいつまでも熊の毛皮を使うことは、手放しで歓迎はできないのだ。

そこで、動物愛護団体であるPeople for Ethical Treatment of Animalsが、化学繊維を使った帽子を使うことを提案し、軍にサンプルを提出したそうなのだ。しかし、軍は着用時の問題点があるとしてこれを退けてしまった。武装担当官のアダム・イングラム氏によると、その理由は「特に雨天の際は着用に不都合が生じる」(UK Todayより)とのことで、現場の兵士たちは熊の毛皮製を支持したそうなのだ。

具体的にどういった点が不都合なのかは明らかにされていないのだけれど、化学繊維製の帽子は雨が降ると水を含んで重たくなってしまうのかもしれない。かといって、もはや英国の象徴であるあの帽子の形状を変えるわけにはいかず、結局このまま熊の毛皮を使うことになったのだそう。現在ある化学繊維では、あの質感と機能の両面を再現することはできないみたいなのだ。

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