「ゲームを五輪種目に」米企業が中国政府と交渉中。

2006/06/04 17:39 Written by コジマ

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2008年開催の北京五輪のデモンストレーション競技に採用されようと、米企業が中国政府に働きかけている。その競技とは、なんとテレビゲームなのだ。現地の支社を通じて交渉している米グローバル・ゲーミング・リーグ(GGL)のテッド・オーウェン会長は、「中国のゲーム市場は急成長しており、ゲームが五輪の新種目としてデビューするのにふさわしい場所」としている。

米国でのゲーム熱はたいへんなもので、「電子スポーツ」という新しいスポーツ分野と認知されつつあり、大リーグ(MLB)やバスケットボール(NBA)などと同じプロスポーツの仲間入りしつつあるのだそう。

GGLやサーバーアスリート・プロフェッショナル・リーグ(CPL)といった会社は世界ツアーをするほど大規模な大会を開き、その様子をケーブルテレビやMTVなどが中継しているという。スポーツ用品の企業が人気アスリートと契約するように、ゲーム周辺機器の企業はこうした大会に出場しているトッププレーヤーとスポンサー契約し、年収数十万ドル稼ぐ選手も少なくないというから、本当にプロスポーツ並みの収入なのだ。昔の「○○名人」というレベルではなさそう。

また、トップ選手と同じくらい人気があるのが、大会中継時の実況なのだとか。ゲームの画面上の出来事を劇的に表現することで、視聴者の心を捕らえているようなのだ。MTVの幹部は「ビデオゲームは、音楽、ファッション、映画などと同じく若者のポップカルチャーの重要な一部になっている」(世界日報より)としている。

こうした電子スポーツとして成長をかんがみてGGLは、関心が低下している五輪に話題性の高いゲームを導入することによって五輪人気の回復に貢献できると主張している。中国政府に働きかけ、了承が得られたら国際オリンピック委員会(IOC)と交渉する予定だそうだけど、中国政府の反応は悪くないようなのだ。

しかし、IOCは92年以来デモンストレーション競技の採用を行っておらず、今回の北京五輪でも再開する予定はないため、実現の可能性低そうなのだ。また関係者の話では、IOCは子供たちをコンピュータから引き離す運動を展開しているそうで、「ゲームを新種目にしろという主張は、喫煙を競う種目を認めろと言うのと同じようなものだ」(CNNより)という辛らつなコメントも受けている。

さらに、IOCがスポーツとして認めたリストに「ゲーム」や「電子スポーツ」といった名前はもちろん入っておらず、実現する可能性はかなり低そうなのだ。ちなみに、このIOCのリストには、ビリヤードや綱引き、チェスなども入っているのだとか。チェスってスポーツなのかあ。

オーウェン会長はこうした事態を踏まえて、「IOCに却下されたら五輪スタジアムのすぐ隣で世界大会を開くつもりだ」と、あくまでも五輪にこだわって知名度を上げていこうとしているようなのだ。

五輪種目にはなりそうもないけど、米国でここまで盛んになっているゲームの勢いが、こうした話題を通じて世界に波及していくのかもしれない。それにしても、ゲームがスポーツとは……。体を鍛える必要が一切ないという画期的なスポーツなのだ。

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