高齢者の孤独は高血圧の原因、友達がいれば運動並みの降圧効果。

2006/06/03 19:01 Written by コジマ

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どんな年齢でも、一緒に語ったり遊んだりする友達は大切なもの。しかし、健康的な問題や外出の億劫さから、疎遠になってしまい自宅にひきこもりがちな高齢者が多いという。独居の高齢者も増えるなか、孤独がさまざまな病気の原因となる高血圧を引き起こし、友達や社会的なつながりによって防げるという研究結果が出たのだ。その効果は定期的な運動や減量並みというから、驚くべきなのだ。

高血圧は、肥満や糖尿病などとともに心筋梗塞や脳卒中など死につながる病気の原因とされており、日本でも多くの患者を抱えている。高血圧自体がすぐに体の変調を来さないため病気と自覚している人が少ないけれど、すべての器官につながっている血管に負担をかけるのでじわじわとボディーブローのように体をむしばんでいくという非常に怖い病気なのだ。

今回の研究を発表したのは、米シカゴ大学のジョン・T・カシオッポ教授らの研究チーム。イリノイ州のクック郡に住む50〜67歳(平均年齢57.5歳)の白人、黒人、ヒスパニック系を含む229人を対象に、年齢、性別、人種、教育レベル、収入、結婚歴、社会的サポート、ストレスといった個人の背景を電話で聞き取り調査し、孤独と高血圧との関連を研究をしたのだ。

その結果、友達と遊ぶなど積極的に社会的なつながりを持っている「孤独でない」人は、年齢や性別、人種など同じ背景を持つ「孤独」な人と比べて収縮期血圧(最大血圧)が平均で30mmHg以上低いことが判明した。これは以前から高血圧の予防に有効とされている定期的な運動や減量と同じ効果だそうなのだ。この効果は、年齢が上がるほど高いという結果も出たのだとか。カシオッポ教授は「心筋梗塞や脳卒中が孤独な高齢者のなかで増加するという仮説を裏付けた」とコメントしている。

また、同教授の別の調査では、孤独が高齢者のうつ病を引き起こしやすい状態にしているという結果も出ている。孤独な高齢者は、肉体的にも精神的にもかなり危険な状態だと言えるのだ。

少子高齢化が問題となっている一方で、核家族化の影響から一人暮らしの高齢者が増加し、孤独死や自殺が後を絶たない。それは米国でも似たような状況のようだ。今回の研究結果をみて、つくづく友達は大切なものだと実感したのだ。しかし、親友の死や身体的不自由さから仕方なく周りとの関係を断っている高齢者もいる。こうした高齢者には家族の助けが必要で、おじいちゃんやおばあちゃんと積極的につながりを持つことが、長生きしてもらう秘訣なのかもしれない。

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