29歳で東大合格、入学後に目指した夢とは。

2006/05/28 06:19 Written by コジマ

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この春、29歳の東京大学生が誕生した。名前は森本真さん。浪人生が珍しくない東大でも、ひときわ高年齢の新入生だ。それだけでニュースになりそうだけど、森本さんはある夢を持って赤門をくぐったのだ。

群馬県高崎市出身の森本さんは、1977年2月生まれの29歳。コ○助と同学年なのだ。地元の私立東京農業大学第二高校を卒業後、2年間の浪人を経て成城大学に入学し、同大卒業後は「民営化が確定した某役所」(本人プロフィールより)に勤めたものの、夢をあきらめきれないため2年で退官。アルバイトをしながら再び2年間の浪人生活を経てこの春東大の文科III類に合格したのだ。しかし、森本さんの夢は「東大入学」ではなかった。

その夢とは、「東京六大学野球に出る」ことだったのだ。小中と軟式野球を経験し、強豪校である東農大二高に進学後も野球部に入部した。168センチ、62キロという小兵ながら、2年生の秋に中堅手としてレギュラーを獲得。しかし、3年夏に出場した甲子園では、ベンチに入れなかったという。

最初の受験で夢をかなえるべく東京六大学を片っ端から受験したのだけれど、失敗。翌年に入学した成城大学では、野球への未練を断ち切るために華道部にまで入部したそうなのだ。成城大学にも硬式野球部は存在しており、首都大学野球連盟(2部)に所属しているのだけれど、東京六大学野球じゃなきゃ意味がないという気持ちだったのだろうか。

夢をあきらめて公務員になったものの、「つまらなかった。残りの人生を考えて、どうせなら自分のやりたいこと、好きな野球をしたかった」(スポーツナビより)と、両親の反対を押し切って退官。予備校も通わずに2年間の独学で東大に合格すると、反対していた両親も喜んでくれたそうなのだ。

入学後すぐさま硬式野球部に入部した。上級生や同級生はみんなかなり年下なのだけれど、「ある11歳年下の同級生に、『お前、体が細くね!?』とぶっこまれたのを機に、よく食べ、よくトレーニングすることを心がけてます」と、わきあいあいとやっているようなのだ。ニックネームは「しんさん」「まこっさん」「レオ」「もーりー」のほか、なぜか「アルカイダ」とも呼ばれているそう。うーん、なぜアルカイダ……。

「気持は最年少です」としているものの、「気持ちに体がついていかないし、練習後は筋肉痛になる」(スポーツナビより)と弱音を吐く場面も。それでも、念願の神宮球場の芝の上に立つために努力を続けている。ぼくも森本さんとほとんど年が変わらないのだけれど、草野球程度で翌日はとんでもない筋肉痛に襲われるし、体力的に衰えていっていることをひしひしと感じるのだ。ましてや大学の硬式野球部の練習なんて、とてもじゃないけどついていけない。30歳を目前にして10代後半から20代前半の学生と同じメニューをこなすなんて、本当に感心するのだ。こうした努力が、17季連続最下位と低迷する東大野球部を救うかもしれない。

紆余曲折を経て夢への一歩踏み出した森本さん。夢の先のビジョンも「国語教師になる」としっかりしており、好みの女性として「『好きなことやるのは構わないんだけどさ、生涯賃金を機軸として考えたら賢い生き方ではないよね』などとお説教をしたりしない女性」を挙げる(ちなみに、好きなタレントは上戸彩と池脇千鶴だそう)など、ユーモアセンスも抜群。こうした経験や苦労を重ねた末に身に付けたユーモアが、将来の教え子たちへのとてもよい教材となりそうなのだ。最後に、東大を目指す後輩たちへのメッセージと、自身の抱負を紹介する。

「道は与えられるものではなく、自ら創っていくものだと思います。その過程で辛いことや苦しいことは多いですが、そのぶん、成功した時の喜びは格別です。」

「身近な人々との関係を大事にし、その人達のおかげで今の自分があることを決して忘れず、今以上に楽しく、面白く、刺激に満ちた毎日を送っていきたいです。」

余談だけど、マネジャーは他大の生徒でもいいんだなあ。ふーん。

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