ミュージシャンが選ぶ人生を変えた名盤100枚、最多はストーン・ローゼズ。

2006/05/22 15:44 Written by コジマ

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落ち込んでいるとき、最高に楽しいとき、誰かに恋をしているとき――音楽はさまざまなシーンで慰めてくれたり、盛り上げてくれたりしてくれる。誰にでも思い出に残る曲はあるだろうけど、人生を変えるほどの音楽に出合えるのは幸せなのだ。音楽専門誌「CROSSBEAT」は最新7月号で、「ミュージシャンが選ぶ人生を変えた名盤100枚」を特集している。ニルヴァーナの故カート・コバーンやザ・ローリング・ストーンズのキース・リチャーズといった重鎮から、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、オアシス、ストロークス、アークティック・モンキーズまで、彼ら自身が選んだ「人生を変えたアルバム」を紹介している。そして、一番多く挙げられたのは、ビートルズでなくストーン・ローゼズだった。

表紙にも登場しているカート・コバーンが選んだアルバムは、ザ・ブリーダーズ『Pod』、ザ・ワイパーズ『Is This Real ?』、ジャド・フェア『Greater Expectation』、ピクシーズ『サーファー・ローザ』、ヴァセリンズ「Dying For It」(シングル)、ヤング・マーブル・ジャイアンツ『Colossal Youth』、少年ナイフ『Burninng Farm』、レッドベリー『Leadbelly's Last Sessions』、セックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』、ザ・シャッグス『Philosophy of The World』。ツアーを共にしていた少年ナイフが選ばれているのには感動。カートは「遂に彼女たちのライブを観る機会に恵まれた時、俺はビートルズのコンサートに行ったヒステリックな9歳の少女と化したんだ」とコメントしているのだ。6月16日に発売される少年ナイフのトリビュート・アルバムには、甲本ヒロト、真島昌利、BEAT CRUSADERSらが参加している。

続いて、キース・リチャーズはシングル12曲を選んでいる。リトル・リチャード「ルシール」、チャック・ベリー「バック・イン・ザ・USA」、エルヴィス・プレスリー「ミステリー・トレイン」、オーティス・レディング「ペイン・イン・マイ・ハート」、アレサ・フランクリン「サティスファクション」(ストーンズのカバー)、ビリー・ホリデイ「奇妙な果実」、ジミ・ヘンドリックス「クロスタウン・トラフィック」、ジョン・レノン「イマジン」、トゥーツ&ザ・メイテルズ「プレッシャー・ドロップ」、ボブ・ディラン「ジョアンナのヴィジョン」、マディ・ウォーターズ「ロング・ディスタンス・コール」、グラム・パーソンズ「$1,000・ウェディング」。ストーンズはもともとR&Bのバンドなのでさすがに渋い選曲がされているけど、自らの曲「サティスファクション」のアレサ・フランクリン・バージョンを選んでいる当たりは、「この曲がまさしくオレの人生を変えたけど、そのままだと嫌らしいからな」と言わんばかりなのだ。ボブ・ディランについては、「ボブはむかつく親父だよ。いつだったか『キース、“サティスファクション”なら俺でも書けたけど、おまえに“ディソレーション・ロウ”を書くことはできなかっただろう』なんて言いやがった。『その通りさ、ボブ』って答えといたけどね!」というエピソードも紹介している。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズは、アンソニー・キーディスがギャング・オブ・フォーの『エンターテイメント』とランドマスター・フラッシュ&ザ・フュリアス・ファイブの『The Message』、フリーがジャームスの『G.I』を挙げている。オアシスは兄ノエル・ギャラガーだけが回答しているのだけど、ザ・スミスの『ザ・クイーン・イズ・デッド』とストーン・ローゼズのファーストアルバム(『ストーン・ローゼズ』)を挙げた。かねてからこの2つのバンドからの影響を公言していたノエルだけど、彼が尊敬してやまないビートルズの名前が挙がっていないのには驚かされたのだ。

最近チャートの常連となっている面々では、ザ・ストロークスのジュリアン・カサブランカスが、バンドとしてドアーズ、アルバムではヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『ローデッド』を挙げ、フランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノスはザ・スミスのファーストアルバム(『ザ・スミス』)、ザ・ホワイト・ストライプスはジャック・ホワイトがサン・ハウスの『ファーザー・オブ・ザ・デルタ・ブルース/コンプリート1965セッションズ』、メグ・ホワイトがボブ・ディランの『プリンギング・イット・オルバック・ホーム』を選んでいる。

一方、若手の代表であるアークティック・モンキーズのアレックス・ターナーは、ルーツ・マヌーヴァが01年に発表した『Run Come Save Me』を挙げた。ストロークスからの影響も公言しているアレックスだけど、「人生を変えたアルバムっていうのは、あまりにもドラマチックすぎるよ」「正直言わせてもらうと、人生を変えるほどのレコードって今まで聴いたことがない。なぜか分からないけどさ」と冷ややか。うーん、現代の天才は何者のも左右されないということだろうか。

このなかで、最も多くのミュージシャンに挙げられたのが、ストーン・ローゼズ。2位はザ・スミスとビートルズとなった。UKバンドばっかりだなあ。しかし、意外にもローリング・ストーンズを挙げているミュージシャンは皆無だった。当のストーン・ローゼズは、イアン・ブラウンがボブ・マーリィの『レジェンド』、マニ(現プライマル・スクリーム)が自らのアルバム『ストーン・ローゼズ』を「文字通り人生が変わった」とするとともに、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの『ソングス・フォー・ザ・デフ』を挙げている。

みなさんの「人生を変えたアルバム」も入ってただろうか。ぼくは「変わった」と言えるほどの立派な人生を歩んでいるわけではないけど、音楽を好きになったきっかけは、やはりビートルズになるのかなあ。そういえば、初めて買った洋楽のアルバムは、ジョン・レノンのベスト盤と、ヴァニラ・アイスの『トゥ・ザ・エキストリーム』だったのだ。あー恥ずかしい。

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