献血しない理由を厚労省が初調査、最多は「針が痛いから」。

2006/05/10 22:27 Written by コジマ

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少子高齢化の影響から若年者の献血量は減少傾向にあるそうで、特に20歳以下の献血者の割合は1999年の約43%から03年には約35%とわずか4年で8ポイント低下しており、このままでは血液の安定供給ができなくなるといわれている。こうした状況に歯止めをかけようと、厚生労働省が献血をしたことのない16〜29歳の若年者に意識調査を行ったところ、献血を敬遠する最大の理由が「針を刺すのが痛いから」ということが明らかになったのだ。

調査は、今年1〜2月に全国の16〜29歳の献血経験者と未経験者から無作為に5000人ずつ選んで、インターネットを介して行われた。若年者対象の意識調査は初めてとのこと。その結果、未経験者が献血しない理由として、「針を刺すのが痛いから」を挙げた人が14.2%で最多、以下、「何となく不安だから」(6.5%)、「恐怖心」(5.0%)、「血を採られる感じが嫌だ」(4.6%)が続いている。これらを合わせて、3割の人たちが採血時の痛みや不安で敬遠していることが明らかになったのだ。

ぼくも注射は大の苦手で、あの痛さもさることながら、特に採血は自分の血が抜き取られているのが見えるため卒倒しそうになるのだ。去年の健康診断の際には、顔をそむけ目をつぶって採血を受けたのだけれど、ちょっと離れたところに座っていたら、保健師さんたちの「あんなに採血怖がってかわいいって思ったんだけど、カルテ見たら30歳だって(笑)」という会話が聞こえてきたのだ……。

こうした状況について、厚労省は「若者をひきつけるには、まず献血に対する不安を取り除くことが第一」(朝日新聞より)としている。実際、若年者の献血離れを食い止めようと、日本赤十字社が運営する都内各所の献血ルームでは、それぞれ独自のサービスで献血者の獲得に乗り出しているようなのだ。スポーツニッポンの記事によると、東京・新宿駅近くにある「新宿東口献血ルーム」では、待合室を漫画喫茶のように仕立て、ハンバーガーやドーナツ、アイスクリームを無料で配布し、手相占いやネイルアート、毛髪診断などの日替わりイベントも行われているのだそう。また、東京・秋葉原駅近くにある「アキバ献血ルーム」では、月、水、木曜日の先着10人にメイドの衣装を着た女性による「メイドマッサージ」の“特典”サービスを3月限定で行った。

こうした動きには賛否両論あるのだけれど、それだけ献血者不足が深刻化していることを裏付けているのだ。献血者は全体で93年の721万人から562万人に減少。冒頭で紹介したように、若年者の減少がこれに拍車をかけているのだけれど、今回の調査では献血に関心が「非常にある」(6.4%)と「ある」(45.8%)が過半数を占めるという結果が出ている。また、献血する際の希望として、「献血場所が入りやすい雰囲気」を挙げている人が33.4%にものぼっているので、こうした努力が実を結ぶ日は近そうなのだ。

一方で、献血を申し込んでも血液の濃度が不足して「不合格」になる人が増加しているのだそう。日本赤十字社によると、成分献血にしろ全血献血にしろ、献血の条件としておおむね「血液比重1.052以上又は血色素量12g/dL以上」となっているのだけれど、03年の全国の献血申し込み者のうち、この血液比重(血液の濃さ)が不足して「不合格」とされた人が女性で16.5%(98年から3ポイント増)、男性で0.8%(同2倍増)となっており、食生活の乱れがこんなところにも反映されているのだ。また、欧州各国では一連の牛海綿状脳症(BSE)、いわゆる狂牛病騒動から、献血量の減少、血液の不足が懸念されている。

現在、医療の現場でも出血を少なくする努力は積極的に行われているのだけれど、減少する血液量に追いついていないのは事実。38年で138回も献血したというツワモノもいるようだけど、個人的には今回の調査で献血する場合の希望として3位に挙げられた「献血が健康管理に役立つ」を実現してもらえると、足を運びたくなりそう。せっかく痛くて怖い思いをするんだったら、ついでに健康診断程度の検査をしてほしいのだ。お金払ってもいいから。ちなみに、HIVや肝炎に感染しているかどうかを献血で調べようとしている人が少なからずいるようだけど、血液を検査して感染していると判明しても、献血者には知らせないそうなのだ。

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