アメリカで大波紋を呼ぶ「スペイン語版」米国歌を試聴する。

2006/05/04 16:14 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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今アメリカでは連邦議会で、移民規制を厳しくする法案が審議されている真っ最中。現在米国内に違法で滞在している人口は全労働者の4.9%、その数720万人ともいわれています。特に農業、建設業などの肉体労働に多く、その業界のアメリカ人労働者を締め出していると以前から批判されていました。そんな背景の中、昨年米下院が不法移民を厳しく取り締まる法案を可決。対して上院では移民に市民権を与えやすいように配慮した法案も検討されており、政府内だけでも実にいろいろな意見が交差している状態です。

ところで違法移民の大多数を占めるのが中南米出身のヒスパニック系の移民。彼らが中心となって今回の移民規制の動きに対して反対運動を行っており、先の5月1日にも全米規模の抗議ゼネストやデモ行進を行いました。また彼ら南米系の移民を支持する動きも次第に大きくなり、つい最近ではイギリスの音楽プロデューサー、アダム・キドロン氏がスペイン語版の米国歌「星条旗」を発表するなどしています。この国歌は今度リリースされるアルバム "Somos Americanos" (「我々はアメリカ人だ」)に収められた1曲でタイトルもスバリ "Nuestro Himno" (「私たちの国歌」)。

先日ウォール真木も、このスペイン語国歌を試聴する機会がありました。ギターのソロで始まるこの曲、個人的には結構カッコいいなんて思ってみたり。

スパニッシュ・バージョン国歌も歌詞はほぼオリジナルと一緒。しかしこれに対しては、ブッシュ大統領が「米国歌は英語で歌われるべき」との見解を述べるなど、全米中で波紋を広げています。

個人的には別に国歌がどのようにアレンジされてもいいと思うんですがね(笑)。ロック音楽に詳しいコジマに聞いたところ、ジミー・ヘンドリックスがロック調の「星条旗」をギター演奏した時だって、当時はかなり強いバッシングされたそう。それが今じゃ音楽史に残る名曲だって称えられているぐらいですし、もしかしたらこのスペイン語の国歌だって、将来音楽の、そして政治や文化をひっくるめた「革命的」作品だといわれる様になるかもしれませんね。


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