しっとりもっちりで低カロリー、米粉パンが静かな人気。

2006/05/02 17:35 Written by コジマ

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「米粉」は「ビーフン」ではなく「こめこ」と読み、もち米やうるち米を製粉したもの。低迷している米の消費の打開策として注目されているのだけれど、この米粉を使ったパンが、神奈川県宮城県など全国の学校給食に採用されるなどで知名度が高まっており、そのしっとりもっちりの食感や高たんぱく、低カロリー、さらには小麦アレルギーの人も食べられるものもあるため、じわじわと人気が出ているそうなのだ。

米粉というと聞き慣れないので新しいもののように感じるけど、実は団子やせんべい、白玉、大福といった和菓子の材料で、昔からあるとても身近なもの。その技術は奈良時代、遣唐使によって中国からもたらされ、もち米やうるち米(普段食べている米)を原料に上新粉、白玉粉、もち粉、道明寺粉などに精製される。今回話題になっている米粉パンは、第三セクターの新潟製粉(新潟県)が開発した「気流粉砕」という方法でうるち米の粒子を細かく製粉したパン用の米粉を、福盛パン研究所(大阪府)が研究を重ねて生みだされたのだ。その後、特許を獲得した福盛パン研究所の福盛幸一代表取締役が、近畿地方から普及を進めてきた。

しっとりもっちりという、小麦粉と比べて水分が多い米ならではの食感と甘みが人気で、高たんぱく、低カロリー、さらには自給率が100%に近い日本の事情に合致するという、まさに理想的なパンなのだ。米粉の特産地である新潟県や北海道美唄市をはじめ、米粉パンを給食に導入している市町村が全国に広がっている。また、2003年にはコンビニエンスストア大手のファミリーマートが、福盛パン研究所と提携して米粉パンの販売を開始した。

ただ、現在全国に普及しているのは、米粉に小麦から取り出したグルテンを10〜20%添加しているものがほとんど。この小麦グルテンを加えないとパンが膨らまないためなのだけれど、これでは小麦アレルギーの人が食べられない。そんななか、山形大学大学院ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)が、発泡スチロールの製造技術を応用して米粉100%パンの製造に成功、大学ベンチャーのパウダー・テクノ・コーポレーションを設立し、「Love Rice(ラブライス)」という名で商品化したのだ。このラブライス、見た目は普通のパンと変わらないながらも、「おにぎりとパンの間のような食感で、味はご飯みたい」(VBL関係者)だそうで、普通の米粉パンよりも風味が良いようなのだ。米沢市にある中村屋の各支店で購入でき、通信販売も受け付けているのだ。

近畿農政局消費流通課の植村課長補佐は「米はパンに比べて調理に手間がかかるので、消費が落ち込んでいる。都道府県によってさまざまな事情があるだろうが、自給率100%に近い米をもっと利用してほしい。米粉パンがその火付け役となってくれれば」と話す。一説によると、60%を輸入に頼っている小麦は、日本人の体質に向いていないという。近年の小麦アレルギー増加を勘案すると、こうした意見にも納得してしまうのだ。やはり、自分の国で獲れたものを食べるということが、耐性が弱くなった日本人にとって重要になっているのかもしれない。ただし、「すべての米粉パンが米粉100%ではないので、十分注意してほしい」(植村課長補佐)そうなので、小麦アレルギーの人はちゃんと原材料表示を確認したほうがよいのだ。

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