満塁弾を含む2本塁打の活躍を見せ、新庄剛志外野手ならではの、ノリノリのお立ち台会見が行われると誰もが思った18日のオリックス戦。お立ち台に上がった新庄選手の口から出たのは「今シーズン限りでユニホームを脱ぐことを決めました」との、衝撃的なコメントだったなり。かねてから「ボロボロになるまでプレーしない」と、そう遠くない将来の引退を示唆する発言はちょこちょことしてきたなりが、18日の引退宣言は球団関係者や監督、チームメイトにも予告していなかったという、まさに電撃的なものだったなりね。それもまた新庄選手らしいと言えばらしいなりが、球団関係者は大あわてだったようなりよ。

お立ち台で引退の理由を聞かれた新庄選手は、その理由を「1番の決め手は球場が満員になったから。開幕戦で4万3000人を見て『夢がかなった』『やり遂げた』と思った。1回から9回までファンばかり見ていた」と説明。やり残したことはないのか、との問いには「ないない。アメリカにも行ったし、セ・リーグもパ・リーグも。僕ぐらいいろいろなことやった人間いないでしょ」と答えたなり。開幕からわずか1か月時点での引退宣言で残りのシーズンはどうするのかという不安が出てくるなりが、これについては「もちろん楽しみますよ。一番いい成績残せるかもしれない。最後に頂点（日本一）に立てたらもう…死んじゃうかもね。最後にもうひと花咲かせたい。もう1度4万3000人…。あの感激を味わいたい」と全力で駆け抜けることを誓ったなりね。

この引退宣言を受け、日本ハムの首脳部は即座にコメントを発表。大社啓二オーナーは「球団、日本ハムグループを挙げて全力で慰留に努めます」と、引退宣言を簡単には受け入れないとの姿勢を見せているなりよ。数々のパフォーマンスや新庄選手の派手な露出のおかげで、日本ハムの人気は近年右肩上がり。日本ハムにとっては新庄選手は単なる一選手ではなく、球団の広報的な意味合いも含んだ選手だけに、新庄選手が引退してしまったら営業面でも大きな痛手を受けることになるなりね。グループ全体への影響も計り知れないことから、是が非でも慰留したいところなりよ。

ただ、新庄選手は現在34歳。見た目は若くとも、野球選手としては締めくくりの時期に差し掛かっているのは事実で、「キレイなまま終わりたい」という新庄選手の美学を尊重してあげることも必要なのでは。実際、プレーの面でも年齢的な衰えからか、新庄選手本人が「捕れると思った打球がバウンドしたり、刺せると思った送球でセーフだったり。みんなは気づかないけど、自分では納得していなかった」ということが多々あったようで、周囲には唐突な引退宣言に見えても、新庄選手にとっては熟考に熟考を重ねた結果のようなりよ。

阪神、メッツ、日本ハムと渡り歩く中、残した成績はそれほどパッとするものではないのに、なぜか多くの人の心に残る選手だった新庄選手。まさに「記録より記憶に残る選手」だったなりよね。まだ今シーズンは長いので「お疲れさまでした」とは言わないなりが、野球界にひとつの区切りが訪れたようで、寂しいものがあるなりね。残りの試合、しかと目に焼き付けておくことにするなり。