禁煙は85歳以上でも有効、高知大の調査より。

2006/03/28 09:35 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


禁煙ブームの昨今、喫煙者にとって肩身の狭い世情となってきているのだけれど、喫煙者のなかには「もうね、一生吸い続けてやるもんね」と開き直っている人も多いのでは? そんななか、85歳以上の超高齢者になっても有効だという調査結果が、高知大医学部老年病科・循環器科の高田淳講師らによって、23〜25日に名古屋市で開かれた第70回記念日本循環器学会で発表されたのだ。

喫煙はさまざまな病気と関連しており、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれる慢性気管支炎や肺気腫といった呼吸器の病気の98%が喫煙が原因といわれているし、心臓病や脳卒中などの原因とされている高血圧や高脂血症などの病気と同列に扱われているのだ。また近年、その依存性から“病気”として認定されている。一方で、日本では他の先進国に比べて喫煙率が高いことが問題となっており、喫煙者や非喫煙者を受動喫煙から守る目的で世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約に批准、健康増進法(健康日本21)のなかにさまざまな喫煙規制を設けている。

こうして書いていると、喫煙者のぼくとしては世間の目も相まって非常に耳が痛いのだ。先進国全体で高齢化が進んでいるなか、ますます「健康寿命」が重視されてくるなか、禁煙は早ければ早いほど効果がある。では、遅いと効果がないのだろうか。たばこの害は理解しており、いつかはやめなきゃならないかな、なんて考えつつもやめるタイミングを失って「ここまで吸い続けたから今やめても変わらないだろう」なんて思っている人に朗報なのだ。

高田講師らは1992年に、高知県の旧香北町(現・香美市)に住む75歳以上(平均年齢81歳)の男性297人について、喫煙者と非喫煙者、以前吸っていたがやめた禁煙者の3つのグループに分け、それから10年間調査した。その結果、02年までに心臓病で死亡した人の割合は3グループ間で差がなかったものの、生存者106人についてADLと呼ばれる日常生活の行動能力(自分で服が着られる、買い物ができるなど)を測る指標で調べると、「自立して行動可能」とされた割合が、喫煙者で14%、禁煙者で22%、非喫煙者で39%と差が出た。たばこのやめどきに年齢制限がないことが明確になったのだ。同講師は「85歳になっても、寝たきりにならずに活動的な生活を送るには、禁煙は重要。75歳で禁煙しても遅くない」(読売新聞より)と、85歳以上の超高齢者の禁煙を励ましている。

日本循環器学会では、心臓、脳、血管など(=循環器)の病気の原因として喫煙に注目しており、第70回となった今回は「わが国の喫煙の現状と循環器疾患に対するリスクと対策」と題したシンポジウムを開催。高田講師の研究もこのシンポジウムで発表されたのだ(タイトルは「Non-smoking is Important for “Successful Aging of being Active 85” in Community-dwelling Elderly: Ten-year Longitudinal Study.」)。

一度喫煙してしまうと「非喫煙者」にはなれないけれど、「禁煙者」でも現在も吸っている「喫煙者」に比べれば効果が十分にあることは、今回だけでなく、さまざまな研究から証明されている。今回の研究では、超高齢者でも禁煙に効果があることが示されたけど、喫煙しながら75歳まで生きられるかが問題。たばこのやめどきは少しでも「禁煙しようかな」と思ったときだそうで、やはり早めの禁煙が重要なのだ、と、たばこを吸いながら書いてみたりする。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.