村上春樹がノーベル文学賞候補? カフカ賞受賞で。

2006/03/24 13:49 Written by コジマ

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1987年に発表した「ノルウェイの森」以来、執筆する作品がことごとく売れるという、80年代以降最も重要な作家の1人である村上春樹。独特の語り口調で空虚に展開される“村上ワールド”は、日本だけでなく海外でも非常に人気が高い。そんな村上春樹に、ノーベル文学賞受賞の噂が立っているのだ。その理由は、23日にフランツ・カフカ協会により決定されたチェコの文学賞「フランツ・カフカ賞」の受賞にある。

村上春樹の受賞が決定したフランツ・カフカ賞は、名前の通り、「変身」や教科書にも掲載された「断食芸人」などで有名なチェコの首都プラハ出身の作家フランツ・カフカにちなんだ賞で、民族文化の重要性を喚起することなどに貢献した作家に贈られる。01年創設で、今年で6回目。

どうしてこの賞がノーベル賞に結び付くのかというと、04年のオーストラリア人作家エルフリーデ・イェリネク(代表作:「ピアニスト」、「したい気分」、「トーテンアウベルク―屍かさなる緑の山野」)、05年の英国人劇作家ハロルド・ピンター(代表作:「昔の日々」、「誰もいない国」、「料理昇降機」)と、同賞を受賞した作家がその年のノーベル文学賞を受賞しているのだ。ちなみに、村上春樹は「海辺のカフカ」で主人公の少年を田村カフカと名付けており、ハロルド・ピンターはカフカに傾倒しているのだそう。

地元紙は早くも「村上氏は(ノーベル文学賞授賞式が行われる)スウェーデン行きの航空券を手配しなければいけないだろう」(産経新聞より)と報じている。

もし、村上春樹が受賞することになれば、日本人として13番目の受賞者となる。過去の文学賞受賞者は、68年の川端康成、94年の大江健三郎の2人。大江健三郎が受賞した際は、「飛鳥とは何か」の梅原猛も候補に挙がっていたという話を聞いたことがあるけど、村上春樹には対立候補はいるのだろうか。“W村上”の片割れである村上龍だったりして。

ぼくはデビュー作「風の歌を聴け」以来、どうも村上春樹の私小説的作風やインテリ語多用が肌に合わないのだけれど、日本だけでなく、世界の読者に認められているのは事実。知名度やセールスの点においては、ノーベル賞にふさわしい作家であるのだ。まあ、もし落選しても「やれやれ。」と取り合わないのだろうけど(笑)。

フランツ・カフカ賞の授賞式は10月30日にプラハの旧市庁舎で行われるそうで、例年通りであれば同授賞式前にはノーベル文学賞の受賞者が発表されるのだ(昨年は10月13日発表)。ノーベル文学賞の授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に予定されている。賞金は1000万スウェーデンクローナ(約1億5000万円)。カフカ賞の賞金が1万ドル(約120万円)なので、100倍以上(しかも非課税)にもなるのだ。

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