WBCの日本に米メディアが称賛の嵐、王監督も大リーグ入りの可能性。

2006/03/23 09:44 Written by コジマ

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奇跡の準決勝進出、そして世界一へ―ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での日本代表チームの活躍は、日本国内だけでなく、米国にも与えた影響は大きかった。米各紙は、決勝戦当日の20日(現地時間)付の電子版や翌日付の通常版などで、日本への称賛と大リーグへの批判記事を相次いで掲載したのだ。また、ZAKZAKはWBCで活躍した選手の大リーグへの流出を懸念する記事を掲載。WBCでの采配が各国のメディアで高評価された王貞治監督の大リーグ移籍の可能性にまで言及している。

まず、ニューヨーク・タイムズ紙は、電子版で王監督の胴上げ写真を大きく掲載。「大リーガーが2人しかいない日本が優勝した。自分たちが世界一だと思っていた米国は間違っていた」とし、21日付の記事でも「日本とキューバ、両チームで大リーガーは2人しかいなかった」「大リーグは世界における地位を問い直すべきで、優勝決定戦である『ワールド・シリーズ』は改名しなければならない」と強い口調で批判しているのだ。「ワールド・シリーズ」の名前については、日本の多くの野球ファンが以前から「おかしい」と批判していただけに、米メディアが認識したことだけでも今回のWBC開催に意味が見出せるのではないだろうか。また同紙は、22付の社説でWBC決勝戦を絶賛し、松坂大輔投手や小笠原道大内野手、福留孝介外野手らを名指しで称賛。米国については「独占的地位を占めているという考えを永久に消し去ることになるだろう」と辛辣に述べている。

続いて、USAトゥデー紙は電子版で、ヤクルト、近鉄と日本でも活躍したフィラデルフィア・フィリーズのチャーリー・マニエル監督のコメントを掲載。同監督は「米国代表選手は個々の能力は高いが、日本代表選手は基本に忠実なプレーをした」と分析しているのだ。また、カナダのバンクーバー・サン紙は、電子版で「ベースボールは忘れろ。あれは『ヤキュウ』だった」と題し、「イチロー以外、(米国で)ほとんど無名の選手たちが勝利をもぎ取った」としている。王監督が目指した「スモール・ベースボール」の成功、そして、「大リーグこそ最高」と考えている米国の野球関係者やファンへの警鐘を暗に示しているのだ。一方、シカゴ・サン・タイムズ紙は21付の紙面で「WBCは実に面白かった」としたうえで、「どこよりも多くの大リーガーを抱えた米国が敗退したのはあまりにまずかった」としている。

こうした米メディアによる日本代表への称賛はうれしいものの、韓国に2敗、米国に1敗したうえでの優勝なだけに、日本の野球ファンとしては面はゆい気分になってしまうのはぼくだけだろうか。それと同時に、こうした反省を経て次回のWBCに臨む米国代表に怖さを感じるのだ。ちなみに第2回のWBCは、3年後の2009年3月に開催される見込みで、決勝トーナメントの日本開催も検討されているのだとか。

しかし、喜んでばかりもいられない。ZAKZAKでは、絶賛された日本代表選手たちが大リーグの関係者に認知され、流出を懸念する記事を掲載しているのだ。その標的は選手だけでなく、王監督にも及んでいるという。868本の本塁打世界記録保持者として米国でも有名な王監督だけど、今回のWBCでその采配が的中、監督しての手腕も世界レベルであることが認知された。そんな王監督に大リーグの各チーム食指を伸ばしているようで、関係者の話ではロサンゼルス・ドジャースとミルウォーキー・ブルワーズという具体名も挙がっている。もし監督就任となれば言語が問題となることが予想されるけど、その点について、ロサンゼルス・エンゼルスのマイク・ソーシア監督が主軸のウラジミール・ゲレロ外野手やバートロ・コロン投手と通訳を介して指示を送っていることを引き合いに出し、「必要なのはカリスマ性」としているのだ。大リーグ初の日本人監督を見てみたい気はするけど……。

WBCの日本代表優勝は、海外のメディアだけでなく国内にも364億円という経済効果を生み出すことが予想されているそう。こうして振り返ってみると、開催以前は批判されがちだったWBCも悪くないと思ってしまうのだ。純粋に、試合も面白かったし。

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