米警備会社が社員の体にICタグ埋め込み、CEOも率先。

2006/02/16 07:47 Written by コジマ

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児童の登下校管理や仮想メイク買い物かごに入ったたくさんの商品を一度に計算できたりなど、最近ぼくらの生活にも浸透しつつある無線ICタグ。RFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれるこの装置は、記憶と無線通信の機能を持つ非接触型の自動認識技術のことで、さまざまな形状のものがあるのだ。米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」被害の際も遺体管理に活躍したICタグを、IDカードや入室キーの代わりに社員の体に埋め込むという実験を行っている会社が話題になっているのだ。それは米国の警備会社シティーウォッチャー・ドット・コムで、社員2人のほかCEO(最高経営責任者)のショーン・ダークス氏も率先して埋め込んだとのこと。

社員らの前腕部に埋め込まれたICタグは、米ベリチップ社が開発した米粒大のチップ。6都市の犯罪多発地域でカメラとインターネットを使った監視を提供しているシティーウォッチャー社はこの製品の導入を検討しており、今回、自ら実験を買って出たかたちとなったのだ。ダークスCEOの依頼に同意した2人の社員は、顧客の監視カメラのビデオを保存する重要な部屋へ入る仕事をしている。同CEOによると「チップを埋め込まなければ解雇するといった強要も行っていない」(ITmediaより)とのこと。また、「私も1つ埋め込んだ。私自身がしたくないようなことをほかの人に頼むわけにはいかない」(同)と、率先して“実験台”になっていることも明かしている。

注射のように前腕に挿入されたICタグにより、部屋の外側にある読取装置に腕をかざすだけでドアが開くようになり、入退室用のカードキーを持ち歩く必要も、他人に貸与したり奪われたりする恐れもなくなるのだ。非常に便利かつ防犯上は安全な装置なのだけれど、気になるのが人体への安全性。一応、米食品医薬品局(FDA)も承認しているし、ダークスCEOも「副作用もないと聞いている。不安や気持ち悪さはない」(朝日新聞より)とコメントしている。だけど、米ドラマ「24」で首に発信器を埋め込むシーンを見ただけで卒倒しそうになったぼくにとって、スパイや特殊工作員でもないのに生身の体に異物が入れられるなんて信じがたいのだ。しかも、取り出すときのことを考えると……。うーん、ここの社員じゃなくてよかった。ちなみに、ICタグは受信専用のため、埋め込まれた社員の私生活を監視することはできないとしているのだ。

この試みは米国初のことだそうで、今後、米国内の68の病院で導入が予定されているのだとか。「世界初」ではなく「米国初」というのは、2004年にメキシコの司法長官の事務所で導入されているからなのだ。個人情報保護法の施行など、情報セキュリティー強化の波が押し寄せている日本にもこの技術が導入されるのか、とても気になるところなのだ。自分が勤めている会社に「仕事のため、このチップ埋め込んでもらいたい」と言われたら、みなさんはどうしますか?

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