体長わずか7.9ミリ、世界最小の魚をスマトラ島で発見。

2006/02/03 10:48 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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インドネシア・スマトラ島といえば、2004年の暮れに起こった地震と直後に襲ってきた津波のために多くの犠牲者を出した場所として、今でも記憶に新しい場所。今でもこの島の名称を耳にすると、なんとなく悲しい気分になってしまいますね。

それでも今回そのスマトラ島から届いたニュースは、生物学的には大変重要で明るい話題。島中部に位置する泥炭湿地林から世界最小の魚が見つかったというのです。その体長は成長しきった状態でも7.9ミリ程度。まるで他種の稚魚のようなサイズなのです。

この泥炭湿地はインドネシアのスマトラ島、カリマンタン島などが有名だそうで、海岸や河川沿いの低地などに形成されます。雨季が来ると冠水した状態になるので、有機物の分解が遅れ枯れた植物などが何千年も分解されずそのままになっているのが特徴。酸性度も高く、生物が生息するには難しい環境だと考えられていました。

そんな場所で発見されたこの魚はコイ科の学名 "Paedocypris" に属するそうで、こんな小さいサイズでも、オスの場合は大きな胸ヒレと発達した筋肉があるとか。これは交尾の時にメスをガッチリとつかまえておくために必要だと考えられているそうです。おお、ミニなくせに意外と強引な(笑)。

実はこの魚、すでにその存在は10年以上前に知られていたのですが、間違いで既存の種に分類されていました。しかし最近の研究でこれが全く違う種だと判り、晴れて新種として学会で発表されることになったのです。

まだまだその生態はハッキリしていないこの世界最小の魚。これからもその限られた生息場所を維持しながら、研究が続けられることを祈らずにはいられません。

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