コニカミノルタがカメラ・フィルム事業から撤退、デジカメをソニーに譲渡。

2006/01/20 13:08 Written by コジマ

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昨年11月4日にカメラやフィルムを取り扱うフォトイメージング事業を縮小する方針を打ち出していたコニカミノルタホールディングスが19日、カメラ事業を今年3月末まで、写真フィルム事業も2007年9月末までに全面撤退すると発表したのだ。撤退後は、デジタル一眼レフカメラの「αシリーズ」が昨年業務提携したソニーに譲渡され、他のデジタルカメラのアフターサービスもソニーが引き継ぐが、コンパクトカメラの「DiMAGEシリーズ」は姿を消すこととなった。これに伴い、コニカミノルタは早期退職者募集やソニーへの転籍などで、グループ従業員の1割以上にあたる3700人を削減することも発表したのだ。今後は多機能コピー機や電子材料などに経営資源を集中していくとのこと。

1873年創業のコニカと1928年創業のミノルタが2003年に経営統合したコニカミノルタ。国内初のカラーフィルムを発売した会社と世界初のオートフォーカス一眼レフカメラを開発した会社という老舗カメラメーカーがタッグを組んでも、デジタル化の波には対応しきれなかったのだ。昨年に京セラがカメラ事業から撤退、今月11日にはニコンがフィルム一眼レフ事業から事実上撤退するなど、デジタル一眼レフカメラの普及型を早期投入したキヤノンや薄型コンパクトデジタルカメラに手ぶれ補正機能を搭載させた松下電器産業などに比べ、デジカメの普及により各メーカーの明暗が色濃く出ることになったのだ。

一眼レフカメラはレンズに互換性がないため自社製品へのユーザーの囲い込みが重要となるのだけれど、これはデジタル一眼レフにもあてはまる。コニカミノルタはミノルタのフィルムカメラ「αシリーズ」のファンが多かったものの、価格の安い普及型デジタル一眼レフの発売が遅れたため、多くのユーザーが他社に乗り換えてしまったのだ。また、同社はコンパクトデジタルカメラの発売でも出遅れ、2003年にようやっと「DiMAGEシリーズ」を発売。しかし、主流である薄型への手ぶれ補正機能搭載でも遅れを取ってしまったのだ。また、キヤノンや松下のような広告戦略をとれない台所事情もあって、同社のカメラ事業のデジタル化は失敗に終わった。うーん、松下の「LUMIX」に負けない光学12倍ズーム搭載のコンパクトを出してるんだけどなあ。さらに、フィルムや印画紙など写真感光材料の需要もデジタル化により縮小の一途をたどっているため、フィルム事業からも撤退を余儀なくされたのだ。

同社の太田義勝副社長は「カメラは創業事業だが、ノスタルジーには浸れない。好調な情報機器分野などに経営資源を集中して成長戦略を進めたい」と述べている。しかし、カメラの老舗がコピー機づくりに専念するってのもなあ。まあ、創業事業以外で有名な会社なんていくらでもあるけど。

一方、家電大手が、自社生産の半導体を武器に年内にもデジタル一眼レフカメラ市場に参入する予定だそうで、こうした家電メーカーの参入をみると、カメラも家電の一部になってきているのだと感慨深くなるのだ。そう考えると、カメラと家電を同時に売り出したヨドバシカメラやビックカメラなどは先見の明があったのだろうか。

こうしたカメラ業界の再編は今後も続くとみられており、デジタル化に対応できない老舗カメラメーカーがどんどん淘汰されていくのだろう。老舗としてデジタル化に大成功したキヤノンには讃辞を贈りたいのだ。それにしても、ぼくは「DiMAGE」のZ3を使っているので今回のニュースはちょっと悲しかったのだ。サポートがソニーに移管してずさんにならないといいなあ。

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