「胎児は乗客と認めない」、米アリゾナが判決。

2006/01/15 12:18 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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アメリカで省エネや道路の渋滞を防ぐために大都市などで導入されている「カー・プール車線」。これは高速道路などの一番左側の車線(普段は追い越し車線になります)を「相乗り専用」として、2人以上の乗車なら使用できることが出来るシステムです。大体交通渋滞の多い朝と夕方の数時間づつを専用車線と決めている地域が多いですね。込み合った通勤時間にもこの車線だけは空いているので、スイスイと車が進めるのが魅力的です。

しかしこの車線を悪用して1人乗車なのに使用した場合は、きっちりと違反行為で捕まりますから、ご注意。アリゾナ州のフェニックスでも先日キャンディス・ディッキンソンさんという女性が、1人で運転中にパトカーに止められました。ところが彼女、なんと自分の大きいお腹を指差して「ここにもう1人いるじゃない!」と反論。自分と妊娠中の胎児で立派に「相乗り」だと主張して367ドル(日本円で約40,000円)の支払いも拒否してしまったのだとか。強気だ(笑)。

確かに今アメリカでは、胎児を「1人の人間」として定義する動きがあります。例えばカルフォルニア州などの州法では妊娠中の女性を殺害した場合、お腹の赤ちゃんと母体、2人分の殺人を犯したとして罪が重くなるのです。これはキリスト教の教えや、中絶反対派の思想が根本にあるのでしょう。なので一見行き過ぎのようなディッキンソンさんの主張も、この定義を持ってすれば確かにその通りなのかもしれませんがねぇ。

しかしその後、フェニックス市裁判所の判事がディッキンソンさんのケースに対し「胎児は乗客とは数えない」との判断を下しました。要するに胎児の権利をあまりにも広く定義しすぎると、それが悪用に繋がる……ということかと。まあ当たり前。お気の毒ですが罰金と裁判費用をお支払い下さい、ディッキンソンさん。

元気な赤ちゃんを出産したら、その後は堂々とカープール車線だ(笑)。

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