iPodのデザイナー、大英帝国勲章を受勲。

2005/12/31 22:56 Written by コジマ

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2001年の発売以来、ポータブルオーディオに革命を起こした米アップルコンピュータ社のiPod。当初、5ギガバイト(GB)だったハードディスクドライブ(HDD)の記憶容量は現在30GB、60GBまで増量、動画再生などの機能面だけでなく、デザインも薄く、軽く、斬新に進化してきた。そのデザインを担当してきた上席副社長のジョナサン・アイブ氏が30日、エリザベス2世英女王から大英帝国勲章を授与されたのだ。等級は三等勲士のCBE(Commander of the Order of the British Empire)。コンピューター関連では、二等勲士のKBE(Knight Commander of the Order of the British Empire)を授与されたWorld Wide Web(WWW)の発明者ティム・バーナーズ=リー氏と米マイクロソフト社会長のビル・ゲイツ氏(名誉受章)に続く受勲となった。

iPodの爆発的人気は社会現象となっており、日本でもソニーなど他社の追随を許さないほど。今年は、記憶媒体に軽量で音跳びが少ないフラッシュメモリーを使ったiPod shuffleとiPod nanoを発売し、各ユーザーの需要に合わせた商品展開で人気を不動のものとしているのだ。iPodデザインチームのリーダーであるアイブ氏はアップル社のチーフデザイナーで、ロンドン生まれ。同氏のチームは、iPodだけでなくiMac、iBook、Power Bookのデザインも担当し、英国美術協会や広告業界団体、ドイツのデザイン博物館、米国工業デザイナー協会などから数多くの賞を受け、その作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)など世界中の美術館で展示されているそうなのだ。

今回は、この数々の功績を称えて叙勲されたのだ。英国にはガーター勲章やティッスル勲章など10の勲章があり、大英帝国勲章は1917年に制定された最も低いながら最も有名な勲章。有名人が叙勲される場合はほとんどこの勲章なのだそう。等級は、一等勲士のGBE(Knight Grand Cross of the Order of the British Empire)、KBE、CBE、四等勲士のOBE(Officer of the Order of the British Empire)、五等勲士のMBE(Member of the Order of the British Empire)の5段階に分かれており、アイブ氏が受章したCBEはナイト爵ではないため「サー(Sir)」の称号は名乗れないものの、名字の後ろに「CBE」と署名することができるのだ。。ちなみに、ビル・ゲイツ氏はナイト爵であるKBEを授与されたのだけれど、英国人ではないため名誉受章となり、こちらも「サー」を名乗れない。

CBEを受章した有名人は、映画監督のアルフレッド・ヒッチコック(英国)、ミュージシャンのエリック・クラプトン(英国)、ブライアン・メイ(クイーン、英国)、レイ・デイヴィス(キンクス、英国)サッカー選手のアレックス・ファーガソン(英国)、俳優のジョン・ハート(英国)、ロジャー・ムーア(米国、名誉受章)、演出家の蜷川幸雄(日本、名誉受章)などがいるのだ。ちなみに、ヒッチコックは一旦受章拒否しており、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイ(英国)は2000年にCBE叙勲を断っている。


☆ジョナサン・アイブ氏略歴

1967年、英国ロンドン生まれ
英ニューキャッスル工芸学校でデザインとアートを学ぶ
1989年、ロンドンのデザインコンサルティングを手がけるタンジェリン社とパートナー契約
1992年、アップルコンピュータ社入社
1996年、同社デザインチームのリーダーに就任、MessagePad 130、twentieth anniversary Macintosh、Apple Studio ディスプレイ、iMacシリーズ、iBookシリーズ、Power Bookシリーズ、iPodのデザインを担当
2005年、大英帝国勲章二等勲士(CBE)受章

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