波紋広がる映画「SAYURI」論争、中国からは非難の声も。

2005/12/15 15:39 Written by コ○助

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アーサー・ゴールデンの小説「メモワール・オブ・ア・ゲイシャ」を映画化すると発表されたときから、「アメリカ人の目線で見た日本」の姿がどのように描かれるのか、映画ファンから注目を集めてきた「SAYURI」。渡辺謙や役所広司、桃井かおり、工藤夕貴ら日本のトップ俳優の出演が決まったことで、「それほど間違った描写にはならないはず」との期待の反面、主人公の芸者役にチャン・ツィイー、ライバルの芸者役にもコン・リーが起用されたことで、「日本の芸者を中国人が……?」との違和感を感じた日本人は少なくないなりよね。

日本が舞台なのに全員英語を話している、日本人役の仕草が日本人に見えないなど、細かいところを挙げればいくつでも突っ込みどころはありそうなりが、ロブ・マーシャル監督はそうした部分をすべてひっくるめて「ファンタジーだから問題ない」というスタンス。それゆえ、大真面目に「SAYURI」のディテールを語るのはナンセンスとも言えるなりが、ロブ・マーシャル監督の考えはお構いなしに、日本、アメリカ、そして中国でも論争が巻き起こっているなりよ。

産経新聞によると、それぞれの国で起きている論争は次のようなものだというなり。

・日本では「紙吹雪が舞う中で、さゆりが傘を振り回して派手な踊りを披露したり、着物の着こなしが奇異だったり」する点など、不自然な描写への指摘が出ている。
・アメリカでは「芸者の伝統を軽んじているうえ、史実、原作に忠実でない」「緩慢な物語展開が作品の絢爛さを台無しにしている」といった批評が出ている。
・中国ではチャン・ツィイー演じるさゆりが日本の大企業の会長と恋に落ちたり、上客に肌をさらしたりする姿に対し「ツィイーは恥知らずの売春婦」「国籍を剥奪すべきだ」といった非難の声が上がっている。

なぜ中国から非難が? と当初は思ったなりが、なるほど、そういう理由だったなりか。日米の批判とは少しベクトルが異なっているなりよね。まあ中国らしいところではあるなりが……。

ちなみに、いくつか日本における「SAYURI」の映画評を見ておくなりが、例えば読売新聞の映画評「ハリウッド製“ゲイシャ・ムービー”の出来」では、「『英語のせりふ』に『中国人芸者』という違和感から、なかなか抜け出せない」「それにしても、浅い。ここには芸者を生み出す社会背景や歴史的な掘り下げが足りないし、だいいち、芸者を通して見た日本文化に対する畏敬の念が見られない」と厳しい言葉が並んでいるなりよ。

映画評で有名なサイト「映画瓦版」では「言葉や風俗描写はとりあえず脇においても、僕はこの映画の狙いがよくわからなかった」「芸者風俗の紹介とストーリーの両方を追って、双方が中途半端になった印象」と、これまた厳しい評価。好き嫌いは分かれるなりが、「超映画批評」でも「原作がしっかりと考証を重ねた小説であることを思うと、映画版のやり方に対して釈然としないのも事実」と、ファンタジーの味付けをした手法に疑問を呈しているなり。

すでに日本でも公開されているので「もう観た!」という人も多いと思うなりが、実際のところどうだったなりか? ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞候補にチャン・ツィイーが選ばれたことに加え、作品自体もアカデミー賞にノミネートするのでは、との見方もあるだけに、まだこの話題、しばらく続くかもしれないなりね。

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