低迷する巨人戦中継、テレビ東京が参入へ。

2005/11/30 09:17 Written by コジマ

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かつて野球中継のなかでも優良コンテンツだった巨人戦だけど、ここ数年は低迷を続け、今季は10.2%と過去最低に落ち込んだ。そんななか、2002年のNHK、今年のテレビ朝日に続き、テレビ東京が来季の巨人戦中継を担当する可能性が出てきたのだ。今季、どこのテレビ局も中継しなかったパ・リーグのプレーオフで高視聴率を稼いだ同局なだけに、何か“秘策”があるのだろうか。

野球中継は映像を加工しなくてよいため、高い放映権料を払っても13〜14%の視聴率で元が取れるといわれているのだけれど、今季、対日本ハム(交流戦)などの19試合の巨人戦をテレビ朝日が得た視聴率は、うち17試合がゴールデンタイムにもかかわらず19試合平均11.1%と“元本割れ”だったのだ。これにより、テレビ朝日は来季の巨人戦放送を削減すると発表している。
そんななか、テレビ東京が新たに放映権を取得する見通しだという。同局は今季、どこの局も手を出さなかったパ・リーグのプレーオフ第2ステージの4、5戦を中継し、それぞれ13.8%、17.0%の視聴率(関東地区)を稼いだ。先述した13〜14%という“目標値”をクリアしただけでなく、この値は1億円といわれる巨人戦の放映権料を基準に設定されているため、3000万円以下というプレーオフの放映権料を考慮すると、完全なビッグビジネスだったことがわかるのだ。テレビ東京では、全社員に金一封(2000円)が配られたそうな。

これまでも数々の優良コンテンツをつくってきたテレビ東京なだけに、今回の巨人戦中継参入に何か勝算はあるのだろうか。スポーツニッポンの記事によると、テレビ東京の菅谷定彦社長は「東京ドームの巨人戦も話があれば(放映権を)取りにいく。ジャイアンツには依然として価値がある」としているのだそう。うーむ、この発言から論拠はうかがえないのだけれど、どうも放映権料が下がった可能性があるのだ。放映権料が下がれば、その幅にもよるけど現在の平均視聴率(10.2%)でも十分元が取れる。また、1億円近くの予算を使って当たるか外れるか分からないバラエティ番組を制作するよりも10.2%はよっぽど安定した数字と考え、さらに来年開催されるワールド・ベースボール・クラシックなどによる野球人気復活に期待しているかもしれない。

再びスポーツニッポンの記事によると、すでに数試合の中継へ向け各方面と調整に入っており来年1月にも正式決定するのだそう。ただ一つ問題となるのが、テレビ東京の全国世帯カバー率が70%ということ。地方ほど巨人ファンが多いといわれているため、同局の中継を歓迎できないファンもいるのではないだろうか。また、別の民放(たぶんフジテレビ)関係者も「放送試合数は当然減る。地上波ではやらず、CS放送のみというケースもある」としており、地上波から巨人戦の数試合が放送されない可能性が出てきたのだ。

もともと巨人戦だけ全試合放送されていること自体がおかしな話であるのだけれど、現在のテレビ界のフロンティアといわれるテレビ東京の中継参入が吉と出るか凶と出るか、各テレビ局だけでなく、巨人ファン、ひいては野球ファンも気になるところなのだ。

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