パ・リーグが来季プレーオフ改正、シーズン1位に無条件で1勝。

2005/11/21 09:50 Written by コジマ

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プロ野球パ・リーグの理事会が20日、来季からプレーオフ制度の運営方式変更を発表したのだ。第2ステージでレギュラーシーズン勝率1位が2位に5ゲーム以上差を付けた場合に与えられていた1勝の権利をゲーム差に関係なく無条件で与えるなど、3点の改正が決定したけど、福岡ソフトバンクホークスと東北楽天ゴールデンイーグルスが要請していた「レギュラーシーズン勝率1位を優勝とし、プレーオフの勝者は日本シリーズ出場権を得るだけ」という案は見送られたのだ。同理事会は2007年にポストシーズンゲーム導入を検討しているセ・リーグと歩調を合わせる方針で、小池唯夫パ・リーグ会長は「再来年以降はセ・リーグの動きに会わせて柔軟に対応したい」と述べている。

改正点の前におもな現行ルールを紹介すると、

1. レギュラーシーズンの順位は勝率で決定し、勝率2位球団が3位球団と第1ステージを行い、その勝者と勝率1位球団が第2ステージを行う
2. 勝率1位が2球団の場合、第1ステージは行わず、1位2球団で第2ステージを行う。この際、前年上位球団を通常の1位球団とする
3. 勝率2位が2球団の場合、前年上位球団を2位球団とする
4. 勝率3位が2球団の場合、2球団で1試合を行い勝者を3位とする。試合球場は前年上位球団のフランチャイズ球場とする
5. 第1ステージは2位球団の専用球場で3試合行い、2勝した球団が第2ステージへ進む。勝利数が同数の場合は2位球団が勝ち抜けとなる
6. 第2ステージは1位球団の専用球場で5試合行い、3勝した球団が年度連盟選手権(日本シリーズ出場)球団となる。勝利数が同数の場合は1位球団が優勝となる
7. レギュラーシーズンで1位球団が第1ステージ勝者(実質2位球団)とゲーム差が5以上の場合、第2ステージに1勝のアドバンテージが与えられる
8. レギュラーシーズン勝率上位球団は当該ステージの興行権利を保持することとし、全試合数のなかから一部を相手球団の本拠地・専用球場に指定、移行してもよいこととする
9. 年度連盟選手権を獲得した球団を年度順位の第1位とする
10. 2位以下はレギュラーシーズンの勝率で順位を決定する
11. レギュラーシーズンの勝率第1位球団は別途表彰する

となっているのだ。導入後2年連続で勝率1位となりながら日本シリーズへ出場できなかったソフトバンクや楽天は、最後の「別途表彰する」を快く思わず、日本シリーズ出場球団とリーグ優勝球団を分けるべきだと提案していたのだ。また、敗者復活戦やサドンデス方式なども提案されていたのだとか。

そして、今回の改正点は、

・第2ステージで与えられる勝率1位球団へのアドバンテージ1勝の条件を、5ゲーム差以上から無条件にする(7の変更)
・勝率1位が2球団の場合、対戦成績(それも同率なら前年の成績)が下位の球団が2位となり、第1ステージを行う(2の変更)
・第2ステージの興行権を、1、2戦目を勝率1位、3、4戦目を第1ステージ勝利球団に与える(8の変更)

の3点のみ。冒頭で述べた通り、ソフトバンクと楽天の「勝率1位=レギュラーシーズン優勝」の要求は受け入れられなかったのだけれど、これは他の4球団が強固に反対したためだそう。この方式が今年採用されていたなら千葉ロッテマリーンズの31年ぶりのリーグ優勝はなかったことを考えると、反対する気持ちも分からないでもないのだ。

だけど、そもそも今回の改正の検討は、ソフトバンクが2年連続で勝率1位ながらプレーオフで敗退したことが引き金になっているわけで、勝率1位球団のアドバンテージは現行ルールより強化されたものの、実際、長いシーズンを戦って1位だった球団が優勝できないというアンバランスな仕組みは残されたままになってしまったのだ。なんでも米国の真似をすればいいというわけではないけど、シーズン優勝とプレーオフ優勝を分けている大リーグの方式はある程度公平さが保たれているような気がするけど……。

これについて、ソフトバンクの角田球団代表は「野球協約を含めて議論した結果だから仕方ない。プレーオフに重きを置くということですよ」と、諦めながらも苦言を呈していたのだけれど、王監督は「1位通過でリーグ優勝と認めてもらえないのは残念。でも1位チームに無条件でアドバンテージが付くのは大きな前進。来季も1位目指して頑張ります」と前向きなのだ。ただ、小泉隆司・オリックス球団社長が「5ゲーム差の条件がなくなると緊張感が減る可能性がある」と述べているように、リーグの盛り上がりに水を差すことも考えられる。今回の改正が“改悪”でなければいいけど。

冒頭で紹介したように、2007年からポストシーズンゲーム導入を検討しているセ・リーグと歩調を合わせるために今回の改正は小幅だったと考えられる。セ・リーグのポストシーズンゲーム検討委員会の田中浩委員長(横浜球団常務)も、「パ・リーグも現行のプレーオフが完全なものではないという認識で、一緒にできればという意向のようだ」と話しているように、07年に向けた来年の大幅な改正に期待するのだ。

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