宮藤官九郎作・演出「七人の恋人」で爆笑。

2005/11/21 06:44 Written by コジマ

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初監督映画「真夜中の弥次さん喜多さん」や脚本を手がけたTBS系ドラマ「タイガー&ドラゴン」のヒット、新作書き下ろしの舞台「鈍獣」が第49回岸田國士戯曲賞を受賞するなど、今年もノリにノリまくってる宮藤官九郎。そんなクドカンが作・演出・出演する舞台「ウーマンリブ vol.9 七人の恋人」を先日、東京・下北沢にある本多劇場で観てきたのだ。クドカン特有の軽快かつ絶妙なセリフまわしはもちろんのこと、大人計画本公演のように突然猟奇的なることもなく、ひたすら明るくおバカなストーリーに公演時間中ずっと爆笑の渦に巻き込まれてしまったのだ。

「ウーマンリブ」は、所属劇団の大人計画で本公演のほかにクドカンが作・演出を手がける「部分公演」で、1996年の「ナオミの夢」からウーマンリブシリーズに改称したのだ。阿部サダヲをメインに、クドカン本人や松尾スズキ、猫背椿、荒川良々、皆川猿時など大人計画のメンバーが多数出演しており、大人計画本公演とは違ったクドカンワールド炸裂の“好き勝手さ”が人気。9作目となった今回の「七人の恋人」の出演者は、宮藤・阿部のほか、同シリーズ7作目「熊沢パンキース03」に出演していた田辺誠一や、ドラマのクドカン作品の常連となった尾美としのり、クドカン主宰のバンド・グループ魂のドラマーで、劇団ナイロン100℃所属(所属事務所は有限会社大人計画)の三宅弘城、「真夜中の弥次さん喜多さん」や「タイガー&ドラゴン」にも出演していた少路勇介、「タイガー&ドラゴン」に林屋亭どんつく役でレギュラー出演していた星野源と、なかなか味のある面々だったのだ(少路と星野は同シリーズ前作「轟天VS港カヲル〜ドラゴンロック!女たちよ、俺を愛してきれいになあれ〜」に出演)。

内容は、
「FIRST・KISS」
放課後の音楽室で田辺誠一が転校生の尾美としのりへ恋愛の手ほどきをする
「ナンバーワン・イン・ザ・UNKO」
阿部サダヲ扮する歌舞伎町ナンバーワンホストがなぜか巨大UNKOに刺さった状態で過去を回想する
「マタニティ堀内」
阿部サダヲがゲイの妊婦エアロビクス・インストラクター役でかき回す。阿部の超ハイテンションに笑いっぱなし
「ほとんど×三宅マン」
三宅弘城扮するヒーロー・ほとんど三宅マンが少年・阿部サダヲを助けようとして助けられない。テーマ曲が面白すぎ
「SHOW-Z.com」
大会を控えた少路、尾美、宮藤が結成するヒップホップ・ダンスチーム。そこに阿部サダヲ扮する尾美の彼女であるゴスロリ少女が和を乱す。少路、宮藤のダンスがちゃんとしててビックリ
「むねさん」
彼女の実家に先に着いてしまった星野に、尾美扮するバカのふりした?むねさんがテレパシーで説得力はあるのにぜんぜん参考にならないアドバイス出す
「七人の恋人」
薬師丸ひろ子のナレーションでほんわかと訳の分からない世界が繰り広げられる
―の7つの独立したショートストーリーで構成されていたのだ。「ウーマンリブ」なだけに全編にわたって女装が多く、出演者のテンションが妙に高かったため異様な舞台だったのだ。特に阿部サダヲはみんなに輪をかけてハイテンションだったのが印象的だった。印象的といえば、「ほんとんど×三宅マン」でクドカン扮する巨乳子ちゃんの乳揺らしジャンプが忘れられないのだ。

また、「ほとんど×三宅マン」のテーマなど劇中歌は宮藤、星野が担当し、ストーリーが変わる際には宮藤、星野、三宅が本気のバンド演奏が聞けて、とても刺激的だった。それにしても「マタニティ堀内」の「マタニティー、セキュリティー♪」という歌と「SHOW-Z.com」の「カッケー、カッケー、オレカッケー♪」という歌が、何日経っても頭から離れない……。

ぼくはウーマンリブシリーズも本多劇場のような狭い会場で芝居を観るのも初めてだったのだけれど、噂通りの楽しい脚本と狭い会場ならではの舞台までの近さに興奮しっぱなしで、あまりのテンションの高さとテンポの早さのために、終わってみると心地よい疲労感に包まれるほど。普段の悩みや考えごとなんか全部吹き飛ばされちゃって、何も考えずに楽しめたのだ。当日券で入った人は通路に座って観るのだけれど、そこまでして観たい気持ちもうなずけるのだ。実際、通路もぎっしり埋まってたし。

この「ウーマンリブ vol.9 七人の恋人」は、残念ながら東京公演は13日、大阪公演は19日で千秋楽を迎えてしまったのだけれど、出演者の宮藤官九郎には現在公開中の映画「この胸いっぱいの愛を」(塩田明彦監督)で、阿部サダヲには来年3月公開の映画「子ぎつねヘレン」(河野圭太監督)と来年秋公開の映画「ユメ十夜」の「第六夜」(松尾スズキ監督)で、田辺誠一には12月公開の映画「スクールデイズ」(守屋健太郎監督)で、少路勇介には同じく「スクールデイズ」と現在公開中の映画「春の雪」(行定勲監督)で会えるのだ。ただ、大人計画のホームページよると今回のメンバーによる舞台出演の予定はないみたいだけど、宮藤(暴動)、阿部(破壊)、三宅(石鹸)のバンド・グループ魂の全国ツアー「港カヲルin都会の山賊ツアー〜演奏・グループ魂〜」が27日の福岡公演から始まるので、生の彼らに会いたい人はぜひ。ちなみに「CMのCM」でコマーサルくんの声を担当しているのは阿部サダヲなのだ。

大人計画主宰の松尾スズキが来年年2月5日〜28日に東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで上演される「労働者M」(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出)に出演するとのことで、松尾さんは現在公開中の映画「同じ月を見ている」(深作健太監督)や「スクールデイズ」、「ユメ十夜」の「第一夜」、来年2月公開の映画「サイレン」(堤幸彦監督)への出演、「ユメ十夜」の「第六夜」監督と、フル回転。大人計画人気はしばらく続きそうなのだ。

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