「進化論」のガラパゴス諸島で火山噴火。

2005/10/25 07:44 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


南米エクアドルの西約1000キロメートルの太平洋上に浮かぶガラパゴス諸島で22日、火山が噴火したようなのだ。噴火したのは19ある島々のうち最大のイザベラ島にあるシェラネグラ火山(標高1500メートル)。ガラパゴス諸島は、世界最大のリクガメであるガラパゴスゾウガメをはじめ多くの希少動植物が生息する「進化論の島」として世界遺産(自然遺産として世界初)にも登録されており、ガラパゴス国立公園当局が23日に発表したところによると、イザベラ島民約2000人への影響はないものの、大量に流れ出している溶岩がこれらの動植物に及ぼす影響が懸念されるという。

イザベラ島には、ウルビーナベイというところにガラパゴス諸島の由来となったガラパゴスゾウガメ(「ガラパゴス」はスペイン語で「ゾウガメの島」の意)の保護区があり、現在ではほとんど見ることのできない自然な状態でのガラパゴスゾウガメを見ることができるそうなのだ。シェラネグラ火山から噴き出した溶岩は1週間で約1キロメートル先の海岸に達する見込みだそうだけど、この保護区への影響はないもよう。また火山近くの植物にも大きな影響はないとしているけど、TBSの映像を見るとまさに漫画「ドラゴンヘッド」の世界で、このようすを見る限り「大きな影響がない」というのはちょっと信じ難いのだ。

ガラパゴス諸島は、生物学者チャールズ・ダーウィンが1835年に英軍艦『ビーグル号』で当地を訪れた際、鳥類の変異からヒントを得て進化論を確立、「種の起源」を著したことで有名な、大小19の島から成る火山群島。東にある島は古い火山が多いのに対して、イザベラ島などの西に位置する島々は比較的新しい火山のため現在でも活発な火山活動が続いており、シェラネグラ火山は1997年に大噴火を起こしているし、今年5月には同諸島西端にあるフェルナンディナ島のラ・クンブレ火山(標高1483メートル)が噴火しているのだ。ガラパゴス諸島の地図はこちら

97年の噴火時には、イザベラ島のゾウガメをサンタクルス島にあるダーウィン研究所に一時避難させたので、今回も「大きな影響はない」としているものの、溶岩が海岸に達する1週間以内に別の島へ避難させる動きがあるかもしれないのだ。ちなみに、ラ・クンブレ火山の噴火のときは、幸いにもフェルナンディナ島には絶滅危惧種がいなかった(すでに絶滅していた)ため、生態系への影響はほとんどなかったみたい。

ガラパゴス諸島には5500〜6000種の動物が生息しており、そのうち海鳥を除く75%の鳥類、アシカを除く92%のほ乳類、ウミガメを除く97%のは虫類が固有種なのだそう。各島にしか住んでいない島固有の種や亜種も多く、イザベラ島にはガラパゴスゾウガメ以外にもウミイグアナ、ガラパゴスリクイグアナ、ガラパゴスオットセイ、ガラパゴスペンギンなどが生息しているのだ(詳しくはこちら。ガラパゴスアシカが可愛いのだ)。天敵が少ないためこうしたユニークな進化を遂げたのだけれど、現在ではほとんどが、大航海時代以前から食料として持ち込まれたヤギやエルニーニョ現象などの影響により絶滅の恐れがある種で、今回の噴火により保護区以外に生息する完全に野生の動物が助かるか心配なのだ。

余談だけど、ガラパゴス諸島のフロレアーナ島のポストベイには無人の郵便局があるのだ。観光客がポストに入っている自分の国の手紙を持ち帰って投函することによって成り立っているのだけれど、これが始まったのが200年前の大航海時代。海岸に立ち寄る船が、いつしか樽をポスト代わりに切手も貼らずに手紙を置いたら、その後に立ち寄った船が持ち帰って投函してくれるようになったのだそう。船乗りたちによって作られた国際郵便局なのだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.