30年以上封印された幻の問題作「フリークス」公開。

2005/09/28 17:00 Written by コ○助

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東京・渋谷の人気ミニシアター「ライズエックス」で、11月から公開される映画「フリークス」。この作品の名前を聞いてピンと来た人は、かなりのカルトムービー通かもしれないなり。1932年2月にアメリカで公開された「フリークス」(日本でも同年11月に「怪物團」のタイトルで公開)は、あまりに衝撃的な内容だったことから全米各地で上映禁止となったほか、イギリスでは32年に渡って上映禁止が続いた「呪われた映画」として知られる作品なりよ。それがデジタルリマスター版として、日本で再び上映されることになったなりね。

「フリークス」とは、「畸形・異形のこと」。つまり、身体的な不自由を持った人々のことを指すなり。かつてサーカスや見世物小屋が全盛の時代、アメリカのみならず日本を含めたどこの国でもフリークスが「芸人」として活躍し、その中からはスターとして観客に迎え入れられる人々もいたなりが、この映画「フリークス」は、全米の見世物小屋からスカウトされた実際のスター・フリークスが出演し、製作された作品なり。

公開当初はビジュアルや内容に衝撃を受けて上映中に逃げ出す人が相次ぎ、映画を観たショックで流産したと映画会社を訴える妊婦まで現れる始末。また、当時のニューヨークタイムズは「これは人間に見せるべき映画ではない」と評論し、全米で上映禁止措置が取られることになったいう、実にスキャンダラスな作品なりね。そして、「フリークス」の公開前まではホラー映画のヒットメーカーとして活躍していたトッド・ブラウニング監督は、この作品と共に映画史から抹殺されることになったなりよ。

その後、30年に渡って陽の目を見ることが無かった「フリークス」なりが、1962年のヴェネチア国際映画祭で上映されたのをきっかけに再評価の動きが出始め、現在では人間の残虐さと逆説的なヒューマニズムをあぶり出した作品として、「単なる見世物映画には終わらない映画史に残る唯一無二の傑作」「カウンターカルチャーのバイブル」「ミッドナイトムービー・ブームの火付け役」(公式ページより)と評価されるまでになったというなり。

日本では1932年の劇場公開以降は、映画評論家の佐藤重臣氏がフィルムを個人輸入して地下上映会を行ったり、1996年にリバイバル上映されたほか、1980年には「フリークス 神の子ら」のタイトルでビデオも発売されているなりよ。Googleで検索すると「フリークスを観たことがある」と書いている映画ファンを何人か見つけることができるなりが、きっと彼らは数少ない上映のチャンスに劇場で観たか、もしくは入手困難なビデオを観た人たち。それほどなかなか観ることができない作品だけに、映画ファンならばデジタルリマスター版の公開を逃すわけにはいかないなりよね。

ただ、いかに高評価されているとはいえ、万人に受けるタイプの作品ではないのは確か。公開当初の評価と、映画の内容を吟味した上で、興味ある人はぜひ劇場に足を運んでみて下さいなり。



☆公開情報
タイトル:フリークス デジタルリマスター版
公開時期:晩秋(11月)
劇場:ライズエックス(ライズX)
配給:トルネード・フィルム+クロック・ワークス

☆ストーリー
 舞台はサーカス。小人のハンス(ハリー・アールズ)は、同じ小人の婚約者フリーダ(デイジー・アールズ)がありながら、美しい空中ブランコ乗りクレオパトラ(オルガ・バクラノヴァ)に心を奪われる。恋に目がくらんだハンスは、クレオパトラに弄ばれているというフリーダの忠告も聞かず、乞われるまま に彼女に貢ぎ物を贈り続けていた。

 サーカス団では、アシカ使いのヴィーナス(リーラ・ハイアムズ)が、怪力男・ヘラクレス(ヘンリー・ヴィクター)と喧嘩別れをしていた。そんな傷心のヴィーナスに救いの手を差し伸べたのは、優しいピエロ・フロソ(ウォレ ス・フォード)。一方、ヘラクレスは、早速クレオパトラとねんごろに。そして、ハンスが莫大な財産を相続したことを知った2人は、遺産金目当でハンスと結婚、その上で彼を毒殺するという計画を企てるのだった……。

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