英ロンドン動物園で、「ヒト展示」が始まる。

2005/08/29 11:32 Written by Maki K Wall@駐米特派員

このエントリーをはてなブックマークに追加


ロンドンには公園が沢山点在していますが、その中で特に有名なのがハイド・パーク、セント・ジェームス・パーク、そしてリージェント・パークの3つでしょうか。そのひとつ、リージェント・パークの北東に位置するロンドン動物園。1828年に創設されたこの施設は、近代・科学的動物園の始まりといわれています。

何が近代的かといいますと、それまでの動物園は「見世物小屋」としての趣旨が強く、たとえば植民地などから集めてきた珍しい動物を、私的な施設で展示したの始まりだったそう。ヨーロッパや中国で、王室が権力を誇示するために作られたんですね。フランス革命の後に一般公開されたパリ動物園などがその一例です。

ところがロンドン動物園は「教育・研究」を目的として建てられたため、それまでの動物園とは一線を越しています。一般公開も最初は計画されていませんでした。研究資金調達のために入場料をもらいはじめたのは後々になってから。ちなみに英語で動物園を意味する "Zoo"("zoological garden" の略)もこのロンドン動物園から使われるようになったんだとか。

さて、この歴史的なロンドン動物園でなんとも画期的な「展示物」が始まったそうです。それはなんと「生きているヒト」の展示。一般応募で集まった男女8人が、水着の上にイチジクの葉を貼り付けたのみの「自然に近い」姿で公開されています。

彼らは動物園から提供された食事をし、娯楽のためのテレビやラジオ、ゲームなどに興じては、人々にそれを観察されるのだそうです。人々の反応は、指をさして笑う人、あきれる人、真面目に生態を説明したパネルに見入る人など様々。動物園側は「ほかの動物と一緒に展示されている、ふだんとは違った環境にいるヒトをみることで、人間も霊長類の一種類に過ぎないと人々に教えることができる」と今回の展示を説明しているそうです。

しかし彼らが動物として収容されるのは開園時間のみ。夜は普通の勤め人のように自宅に帰るそうで、あいにく「夜の生態」は観察出来ないそうです。なんだ、つまらん。一部のお客には、それが一番楽しみだったりするんでしょうけどねぇ……。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.