「桑田以来」、甲子園に1年生ヒーロー誕生。

2005/08/09 09:22 Written by コジマ

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逸材が多いといわれる今年の高校球児のなかでも、超高校生級の“ナニワの四天王”のうち辻内崇伸投手と平田良介外野手の2人(残り2人は近畿大学付属高校の鶴直人投手と履正社高校の岡田貴弘外野手)を擁し、今年の甲子園(第87回全国高校野球選手権大会)優勝候補筆頭に挙げられている大阪桐蔭高校。8日、埼玉県代表の春日部共栄高校との打撃戦を制して何とか2回戦に進出したのだけれど、昨日のヒーローは当日152キロを投げた辻内投手でも高校通算65本塁打の平田外野手でもなく、半年前まで中学生だった1年生・中田翔選手だったのだ。

初回にスコアボードの球速表示で152キロを出した阪神も注目する今大会屈指の左腕・辻内投手。ネット裏にいたオリックスのスカウトが持つスピードガンで156キロを計測され、参考記録ながらヤクルトの石井弘寿投手と並んで国内の左腕では最速となったのだけれど、エラーなどを含めまさか乱調で5回までに6失点。「春日部共栄はよく知らない」とコメントした辻内投手は煮え湯を飲まされたのだ。この絶対的エースと優勝候補筆頭校のピンチを救ったが、5番一塁手で出場していた1年生、中田選手だったのだ。小指を切るアクシデントにもめげず、1年生最速となる146キロを記録するなど5回途中から1失点。打っても7回の勝ち越し本塁打を含む5打数4安打大活躍で、鮮烈な全国デビューとなったのだ。

この日、辻内投手と平田外野手を目的に視察に来ていた日米合わせてプロ14球団のスカウト陣も度肝を抜かれ、「この間まで中学生ですよ。考えられない。今年のドラフトで獲りたいくらい」(ロッテ、宮田編成部長)、「怪物。この子は本物ですよ。上の世界(プロ)に行って間違いなく活躍できる」(ニューヨーク・メッツ、大慈彌環太平洋担当本部長)、「1年生で打って投げて大車輪は桑田以来じゃないの。今年でもドラフトにかかるよ」(巨人、大森スカウト)と大絶賛。とんでもない“怪物”が現れたのだ。しかし、本人は至って冷静で、「今日は力んでしまった。次はベストピッチをしたい」と謙虚にコメント。十分すごいんですけど(笑)。

春日部共栄高校も9回2死満塁まで攻め立てたのだけれど、同じシチュエーションから逆転した県大会決勝の再現はならなかったのだ。でも、タレントが揃う優勝候補筆頭をここまで苦しめる大健闘は、今大会屈指の名試合となること間違いないのだ。とはいえ、終わってみれば大阪桐蔭高校は全員安打。全国に誇る3年生2選手に加え、ニューヒーロー中田選手はじめとする層の厚さを示した同校にとって、この激戦が慢心を戒める優勝への重要な糧となっただろう。

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