大自然のなかの音楽フェスティバル、フジロックを体感 その3。

2005/08/05 05:45 Written by コジマ

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日本最大の音楽フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL'05」の1日目(7月29日)に行ってきたので、そのレポートをお届けしているのだ。この日のタイムテーブルはこちら。そして、会場の地図はこちら。一緒に開きながら読むと、臨場感がわきます。

では、続きをどうぞ。

さて、コールドプレイの演奏終了時間と同時に、歩いて15分ほど離れているWHITE STAGEで伝説のバンド、ザ・ポーグスのステージが始まっていた。まったく同じ時間からコールドプレイが演奏していたGREEN STAGEに近いRED MARQEEで、元ミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケと元ブランキー・ジェット・シティの照井利幸を中心とするロッソのステージがあったのだけれど、「ロッソは観ようと思えばいつでも観られる。ポーグスは今回を逃したらいつになるかわかんない!」ということで、WHITE STAGEに向かったのだ。

ここで軽くザ・ポーグスの紹介を。
酒とタバコの酔いどれシンガー、シェーン・マガウアンとスパイダー・ステイシーを中心に1982年に結成した8人組のアイリッシュ・トラッド+パンクバンド。アコーディオンやバンジョー、マンドリンといった楽器を用いるアイルランドの伝統音楽にパンク・ビートを取り入れるという斬新な音楽が、デビュー時から話題だったそうなのだ。当時のバンド名は「ザ・ポーグ・マホーン」。ゲール語(アイルランド語)で「KISS MY ASS」、つまり「オレのケツにキスしやがれ」という意味で、これがBBC出演時にバレて「ザ・ポーグス」への改名を余儀なくされる。バンド自体は世界的に成功していくのだけれど、酔いどれシンガーのシェーンが酒によるケガや失態を重ね、他のメンバーとの確執が発生。91年にバンドを去ったのだ。その後、ギタリストとして参加していた元クラッシュのジョー・ストラマーがボーカルを担当するものの開店休業状態となり、ジョーの脱退後にはオリジナルメンバーが相次いで脱退。96年に出されたアルバム「ポーグ・マホーン」(スパイダーがボーカルを担当)を最後に活動を休止していたのだ。それから5年、シェーンをはじめオリジナルメンバーが復活。これぞホントの「シェーン、カムバック」。そして、今回が活動再開後の初来日となったのだ。ちなみに、こんなウンチクたれているけれど、ぼくが知っているのは「フィエスタ」1曲のみ、ということは秘密なのだ。

閑話休題。
ポーグスの前にWHITE STAGEで演奏していたスティール・パルスのお客さんの入りがイマイチだったことと、現在では知名度がそれほど高くない(と思っていた)こと、メインステージのヘッドライナーであるフー・ファイターズがすぐ後に控えていることなどを考えて、コールドプレイが終わっても十分前のほうで観られるかと思いきや、WHITE STAGEに到着するとトンでもない数の観客。GREEN STAGE並だったのだ。そういえば、ハイロウズのステージのときにトレードマークのクローバーがプリントされたポーグスのTシャツを着てる人がやたらといたのだけれど、やはり、フジロックに来るお客さんはあなどれないのだ。それでも、後ろのほうだって観客はノリノリ。特にアイルランド国旗を体に巻き付けた集団(アイリッシュの人たちかなあ)の勢いにほだされて、パンクビートに乗ったティン・ホイッスルとアコーディオンの哀愁ただよう音色に酔いまくったのだ。うーん、激しい曲なのに胸がキュンとしてしまう……。もちろん、前のほうでモッシュやダイブをしている人たちがうらやましかったのだけれど。

それにしても、シェーン・マガウワンは噂どおりウイスキーとタバコを両手にデロデロで歌っていたのだ。1曲歌うたびに舞台の袖に引っ込み、スパイダー・ステイシーが歌ったりインストゥルメンタルを演奏したりで1曲終わると戻ってくるのだけど、その度にどんどん酔っぱらっていく。さすが“酔いどれシンガー”。歌いながらじゃゆっくり飲めないもんね。しかも、何か言うたびに客席から失笑を買ってるし。でも、そんな姿も最高なのだ。ティン・ホイッスルを吹くスパイダーもかっちょよかったあ。そして、演奏を終えても盛り上がりまくりで、本気でアンコールを求めるお客さんたち。しばらくしてステージに戻ってくるメンバー。初めて観るバンドなのにその嬉しいこと嬉しいこと。さらに、最後の最後にぼくが唯一知っている曲「フィエスタ」を演奏すると、ぼくも周りも最高潮。バンドも観客も一体となったのだ。去り際に「アリガト」「サヨナラ」「オサキニ」と知っている限りの日本語を連発するメンバーたち。いやいや、こちらこそ「アリガト」。ほとんど知らない曲ばかりなのに、本当に観てよかったなあ、と思えるステージだったのだ。

よく、ザ・ハイロウズの甲本ヒロトが「ライブっていうのは練習の成果をみせたり、テクニックを披露するところじゃないんだ。生き様をみせる場所なんだよ」と言ってるけど、完成されたライブで感動したコールドプレイよりも、ポーグスのステージはしっかりと生き様が伝わってきたのだ。次回は、“ジャパニーズ生ける伝説”忌野清志郎の生き様をお届けするのだ。

つづく

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