ミュージカル「キレイ〜神様と待ち合わせした女〜」を観覧。

2005/07/26 09:01 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


クドカンこと宮藤官九郎をはじめとする団員の活躍で大人気の劇団「大人計画」。クドカン脚本のドラマ「マンハッタン・ラブストーリー」の土井垣さん役で一躍お茶の間での知名度が高まった同劇団の主宰者・松尾スズキが作・演出のミュージカル「キレイ〜神様と待ち合わせした女〜」を、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンに観に行ってきたのだ。

「キレイ」の初演は、2000年。松尾スズキの初ミュージカル作品として上演されたのだけれど、今回は5年ぶりの再演なのだ。ストーリーは、
3つの国に分かれ100年間にわたって民族紛争を続ける日本を舞台に、誘拐されて10年間地下室で監禁されていた少女がすべての記憶を失って地上に出るところから始まる。彼女は自ら「ケガレ」と名乗り、戦時下で大豆からつくられた兵士、ダイズ兵の死体を売りさばいて生計を立てているカネコ一家と出会う。キレイな花を見ること、自分の身体と同じ大きさの袋いっぱいに小銭を貯めることを目標に、カネコ一家とともにしたたかに生きてゆくケガレ。やがて大人に成長するとともに、自分の過去を思い出す。その忌まわしい記憶とは……。
というもの。

今回は公演直前の6月に、主演を予定していた酒井若菜が急性胃炎で入院し降板するというアクシデントに見舞われ、松尾スズキも大混乱だったもよう。ぼくも「うー、“モー子”の舞台を観たかったなあ」と思っていたのだけれど、代役の鈴木蘭々がケガレを見事に演じていたのだ。大人になったケガレ役の高岡早紀、カネコ一家を取り仕切るキネコ役の片桐はいり、夫のジョージ役の松尾スズキ、長男で盲目のジュッテン役の大浦龍宇一、次男で頭が弱いハリコナA役の阿部サダヲ、頭に銃弾を受けて頭脳明晰になったハリコナB役の岡本健一、ケガレを愛するダイズ兵・ダイズ丸役の橋本じゅん(「タイガー&ドラゴン」で小虎と敵対するヤクザの親分役を演じた)、ジュッテンが想いを寄せるダイズ兵製造会社社長令嬢のダイダイカスミ役の秋山菜津子、ケガレを監禁していた「民族解放軍」のリーダー、マジシャン役の宮藤官九郎 と、周りも強力な役者陣で固めているだけあって、かなり完成度の高い作品になっていたのだ。ほかにも、テレビ(というかクドカン作品)でおなじみの大人計画の面々も登場。やはり荒川良々(「タイガー&〜」でジャンプ亭ジャンプを怪演)のインパクトはすげえのだ。あと、音楽も担当している神様役の伊藤ヨタロウの演技はなんとも味があってよかったなあ。

と完全に観たように書いているけど、25日のベストショットにもあるように、23日に関東地方で起きた地震の影響によりシアターコクーンに着いたのは午後8時半。主催者側もこのことを考慮して7時開演のところを遅らせてくれたのだけれど、なにせ3時間半以上の長丁場。あまり遅らせると今度は終電がなくなる人が出てしまうと考えたのか、遅延はわずか10分だったのだ。席に着いてすぐに15分の休憩に入る始末。ぐすん。くそう、東京メトロめ。

カーテンコールでは、2回目にクドカンが「今日は電車の事情で遅れて来た方が多かったようですが、観られなかった部分は……想像して下さい(笑)」。続いて3回目に松尾スズキが「それでも気になる人は、あの、外で本売ってますんで買ってください(笑)」とコメント。まったく、商売上手なんだから(笑)。それにしても、役者がよいのか、再演ということもあって脚本が固まっているのがよいのか、前回の大人計画の舞台「イケニエの人」より数段面白い出来だったのだ。

東京公演は今月30日まで、大阪公演は8月6〜12日に大阪ビジネスパークの「シアターBRAVA!(旧MBS劇場)」で上演。興味ある人はどーぞ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.