6台で決勝、F1米国グランプリで異常事態。

2005/06/20 09:05 Written by コジマ

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トム・クリステンセン選手が6年連続7度目の優勝をした、ルマン24時間耐久レースの話題で持ちきりだった今週のモータースポーツ。そんななか、インディアナポリスで行われたF1米国グランプリでとんでもないことが起きていたのだ。

事が起きたのは17日。フリー走行で、トヨタのラルフ・シューマッハー選手がスピンして壁に激突するというアクシデントが起きた。原因はタイヤのパンクによるもので、同選手は昨年にも同じコースでクラッシュし、背骨を痛めて戦列を離れているため、「ああ、ラルフ、ついてないなあ」なんて思っていたのだ。だって、18日の予選では、同じチームのヤルノ・トゥルーリ選手がトヨタ初となるポールポジションを獲得したからなのだ。でも、実はラルフ選手がついていないかったわけでも運転ミスをしたわけでもなく、トヨタを含む7チーム14台が使用しているミシュラン製のタイヤ自体に問題があったのだ。

ミシュラン社が分析した結果、安全性に問題があり、決勝を同じタイヤで走行するのは危険と判断。同社は急遽フランスから別のタイヤを空輸したものの、そのタイヤにも欠陥があることが判明したのだ。にっちもさっちもいかなくなった同社は、「直線部分にスピードを落とすための障害物(シケイン)を設けてほしい」と国際自動車連盟(FIA)に要請していたのだけれど、それも「規定違反」として却下されてしまい、タイヤを使用している7チームに「レース中の安全を保証できない」と申し入れた。決勝では佐藤琢磨選手を含む14台が、スタート前のウオームアップであるフォーメーションラップを終えた時点でピットに入り、そのままリタイヤとなったのだ。結局、スタートはブリヂストン製タイヤを使うフェラーリなど3チーム6台のみで行われるという異常事態になり、観客からはブーイングの嵐で、多くの人が席を立ったのだとか。うーん、そりゃ当然なのだ。

決勝に出場をした6台はすべて完走し、フェラーリのミハエル・シューマッハー選手が今季初勝利で幕を閉じたのだけれど、ポールポジションを獲得したトゥルーリ選手をはじめ、予選4位までがミシュラン製タイヤを使用していたため、リタイヤを余儀なくされたのだけれど、F1は予選で獲得する位置が決勝に大きく影響するため、せっかくのよいポジションをフイにしてしまった人たちは泣くに泣けないのだ。

このことについて、ミシュランは「深く残念に感じており、観客、テレビ視聴者、F1ファン、スポンサーに対して、今日のアメリカGPに参加できなかったことを謝罪したい思いである 」と発表しているのだけれど、これはどうにもこうにも許される問題ではない気がするのだ。チームや選手、スポンサー、観客に対する補償が莫大なものになりそうなのだ。

これに対して、トヨタの冨田務チーム代表は「最初に、ここインディアナポリスと、世界中でレースを見ているすべてのレースファンと、スポンサーに謝りたい。特に、昨日ヤルノ・トゥルーリがポールポジション(PP)を獲得したことを考えれば、この判断を取らざるを得なかったことは非常に残念だ。しかし、我々のドライバーの安全は常に最優先されなくてはならない 」と発表。ミシュラン社の責任については言及していないのだ。FIAの判断に任せるということかなあ。FIAは厳しく非難 してるみたいだけど。

とにかく、ミシュランには7月3日に行われるフランスグランプリまでにはなんとかしてもらわないと、また6台で走ることになっちゃうのだ。それにしても、ドライバーズ・ポイントやコンストラクターズ・ポイントの計算はどうなるんだろう。

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