妊娠中のダイエットで子供が肥満に?

2005/06/13 05:26 Written by コジマ

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ちょっと前の話題だけれど……。

妊娠中とはいえ、体型を気にするのは女性のサガなのか、はたまた生まれてくる子供を肥満児にしたくないという親心なのか、近ごろは妊娠中のダイエットが流行しているようで、まるで冨永愛のような体型の妊婦さんを見ることがあるのだ(そんなポスターあったなあ)。そんな妊娠中にもダイエットに励んでいる人に警告なのだ。妊娠中の過剰なダイエット(栄養不足)が逆に子供の肥満を招くとするマウスを使った実験の結果が、米医学雑誌「セル・メタボリック(Cell Metabolism)」(2005 June; 1: 371-378)に発表されたのだ。

研究者は京都大学病院産婦人科の藤井信吾教授らのグループで、通常の7割しかエサを与えないマウス(ダイエットマウス)から生まれた仔と、エサを制限しないマウスから生まれた仔に、それぞれ通常の5倍の脂肪を含んだエサを与えて観察したのだそう。うーん、前者はまさに、妊娠中のダイエットの流行と欧米化された食生活という現代の縮図なのだ。

ダイエットマウスから生まれた仔は通常の17%の体重しかなかったにもかかわらずグングン成長し、エサを制限しないマウスから生まれた仔と比べて体脂肪が30%、血中コレステロール値も1.5倍高くなったのだとか。

このダイエットマウスの仔は、食欲やエネルギー消費を正常に保つレプチンというホルモンに対する感受性が低下し、レプチンの分泌量が早い時期から増えていたそうで、この分泌時期のズレを肥満の原因として挙げているのだ。

動物だけの話だけだと思うなかれ。朝日新聞によると、「欧米では2500グラム未満の低体重児が成人後に肥満になる確率が高いという調査報告も」あるそうで、今回の実験結果はこの報告を裏付けているのだ。日本でも、お母さんのやせ願望を背景に低体重児の出生率が年々増えているそうで、確実に「肥満種族」への道を突き進んでいるのだ。ちなみに、世界保健機関(WHO)の2004年に発表された推計によると、肥満と関係が深い糖尿病(2型糖尿病)の患者が多い国のトップ10(2000年現在)は、

 1位 インド
 2位 中国
 3位 米国
 4位 インドネシア
 5位 日本
 6位 パキスタン
 7位 ロシア
 8位 ブラジル
 9位 イタリア
10位 バングラディッシュ
         (WHO、2004年)

と、日本が5位なのも驚きだけど、アジアの国が大半を占めているのは由々しき事態なのだ。うーん、欧米食はやはりアジア人には合わないのだ。やはり、土地の伝統的な食事を中心に、たまに欧米食を食べるのがよいのではないかと。目を覚ますのだ、アジア!

また、烏丸御池中井クリニック(京都府)の中井義勝院長が女子学生を対象に行った調査によると、「やせ」の分類に入るBMI値18.5未満で体重を減らしたいと思っている女子大生は、1982年の9.3%から2002年には40.6%に増加していたそうなのだ。

男性のやせている女性を好む風潮が、若い女性の「やせ礼賛」に拍車をかけているのは否めないけど、せめて、妊娠中だけでも過剰なダイエットは控えたほうがよいのだ。生まれてくる子供も、お母さんがふっくらしているほうが安心できそうな気がするのだけれど……。

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