香港ディズニーランドのメニューに動物保護団体が「異議あり!」。

2005/05/24 03:58 Written by コジマ

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急速に近代化が進む中国は、まるで高度成長期の日本を見るようだけど、そのランドマーク的なものが、今年9月にオープンする香港ディズニーランドではないだろうか。そのアジア圏で2つめとなるディズニーランドに、併設ホテルが予定しているメニューがよろしくないと、世界自然保護基金(WWF; World Wildlife Found)や国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)などからクレームが入ったのだ。

非難の対象となったメニューは、高級中華料理の代名詞「フカヒレスープ」。WWFなどは「フカヒレのためにサメが乱獲されているだけではなく、生きたままヒレを切り取られて捨てられるなど、サメが残虐な扱いを受けている」として、メニューの取り下げを求めているのだ。

CNNに掲載されている“非難”を挙げると、
「自然環境を考慮せずに捕獲された海産物を提供するのは、無責任だ。ディズニーは社会的責任を負うべき。今の時代、結婚式でフカヒレスープを出せば、新郎新婦に正しいことをしていないと感じさせてしまう」(WWF香港、クララス・チュー氏)
「ディズニーのメニューにフカヒレスープが入っていると聞いて、耳を疑った。ディズニーのような世界に力を持つ企業が、何らかの対応を取ることを願っている」(グリーンピース、マーティン・ベイカー氏)
と、とても厳しいのだ。

ぼくは知らなかったのだけれど、フカヒレは生きたサメからヒレだけを切り取って体を海に捨てるという漁法が、かなり昔から非難されていたそうなのだ。2000年には米国で「フカヒレの採取禁止法」なる200カイリの米国排他的経済水域内でフカヒレ採取を禁じる法律が制定され、当時のクリントン大統領は「国際的な規制も求めて行く」と発言しているのだ。

ヒレだけ取って捨てるのがいけないのだったら、全面禁止するのではなく、「まるごと食べなきゃいけない法」をつくったほうがいいのだ。フカヒレが取れるサメのひとつモウカザメなんて、安いしテリヤキにすると結構いけるし。どうもこういうのには、うさん臭さを感じてしまうのだ。だって、フカヒレを禁じても欧米人の食生活にはあまり影響ないでしょ? フカヒレが好きで好きでたまらない人が涙を呑んで「NO! FUKAHIRE!」を叫んでるのだったらわかるのだけれど。ぼくも「フカヒレ食べるの禁止」って言われてもぜんぜん困らないけど、イクラが禁止されたら「NO! IKURA!」はとてもじゃないけど叫べないのだ。

ディズニーのようなネームバリューがあるところがフカヒレスープを出すということが、今以上のフカヒレの乱獲を誘発するという懸念もわかるけれど、悪いのはあくまで採取の仕方や乱獲であって、フカヒレを食べること自体はまったく悪いことではないのだ。責めるなら、規制や指導を徹底しない行政のほうなのだ。

動物愛護や環境保全は大切なことだけど、香港ディズニーランドの広報担当が言うように、地域の文化に配慮することもとても重要なのだ。だって、有無も言わさず「えー、オマエんち、トーストにふりかけかけんのかよ〜。うへー。それ禁止ね」なんて言われたらとても悲しいのだ(本当にかけます。おいしいです)。ヒンズー教徒やイスラム教徒の人たちから見れば、ウシやブタを食べることは非難に値するけど、他宗教の食生活に口を挟んだりしないのだ。こういった宗教圏の人たちが、声高に「ウシ(ブタ)禁止! 国際的な規制も求めていく」って言ったら、違う文化圏の人たちはどういう反応をするんだろう。

こんなに熱く語っちゃったけれど、ぼくはお金がないのでフカヒレはインスタントやレトルトしか食べたことしかないのだ。

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