煙突から193年前のウイスキー発見。

2005/05/20 03:40 Written by コジマ

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お酒ってのはすべからくそうなのだけれど、古い物ほど高い。それだけ時間と手間がかかっているので仕方ないのだけど、なかにはわれわれ庶民ののどは一生通過してもらえないほど高価な物もあるのだ。ウイスキーもその例外ではなく、1926年産の「ロイヤル・ブラックラ(Royal Brackla)」(60年物)が1本80万円、今月11日の発売と同時に完売したサントリーの「山崎50年」なんて、1本100万円もするのだ。50年や80年前の物でもそんなにするのに、なんと、193年前のウイスキーが米国で発見されたのだ。しかも煙突のなかから。

発見された場所は、マサチューセッツ州ホリストン。ジャズ・トランペッターのJohn D'earthの出身地だとか。煙突の修理をしていた職人が見つけたそうで、ボロボロのラベルから「1812年」という文字がかろうじて読み取れるらしいのだ。CNNの記事では、「およそ200年前に屋根を建設した際、当時の職人が置いたままにしていたのだろう」と、煙突修理会社のオーナーが推測しているのだ。

193年前のウイスキーさぞかし美味いのだろう、と思ったのだけれど、ウイスキーは原料の種類によって適正な熟成期間があるらしく、古ければよいというわけではないのだそう。それに、そもそも瓶のなかでは熟成しないのだ。しかも口が開いてそうだし。でも骨董品としての価値はありそうなので、オークションに出品すれば高値がつく可能性があるのだ。そうなったら、どうせまたあのオンラインカジノが落札するのだろうけど。

余談だけれど、日本では昨年からサントリーが、「モルト入門。」(北杜)でV6の岡田准一くん、「角割って、話そうか。」(角瓶)でケミストリーをCMで起用するなど、若者にウイスキーをアピールしているのだけれど、“気取った酒”“キャバクラで飲む酒”“いろんな意味でやらしいオッサンの酒”というイメージがぬぐえず、同じ“オッサンの酒”である日本酒や焼酎が若い女性の市民権を得たのとは逆に、いまだに若者から敬遠されているのだ。

いいウイスキーが美味しいのはわかるし、“ウイスキーのソムリエ資格”である「ウイスキー・コニサー」の認定試験が昨年から始まり、若者の取得者も少なくないようだけど、居酒屋でみんなでわいわいやってるときにウイスキーはどうも頼みにくいのだ。「なにかっこつけてんだよ」と茶化されるケースが多いのではないだろうか。でもそれは、あくまで日本では、という話。

英国や米国では日常的にパブやバーでロックを飲んだり、荒くれ者がボトルごとラッパ飲みしていたりと、男らしくてかっちょいいイメージがあるのだ。テレビや映画に毒されてるのかなあ。でも、このボトルを置き忘れた職人さんもきっと、ウイスキーをボトルであおりながらのんびりと仕事をする豪快で気のいい人だったのではないかなあ、と想像してしまうのだ。

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