記憶喪失のピアニスト、身元捜査に多数の問い合わせ。

2005/05/18 02:44 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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実在の天才ピアニストをモデルにした映画「シャイン」。幼少より父親から厳しい指導を受け、素晴らしい腕前を持っていたデヴィッド・ヘルフゴットと言う音楽家の半生を描いた作品です。彼は父からの狂気的な英才教育のプレッシャーなどから、一度は精神障害を患ってしまいます。しかし、献身的な友人らに励まされてハンディを越えて復帰し、演奏家として世界的に名声を得るようになったのです。ジェフリー・ラッシュが
心の病に苦しむヘルフゴットを演じきって、アカデミー主演男優賞を見事受賞しました。話題になった作品なのでご存知の方も多いことでしょう。

ところでこの映画が公開されたのが1995年。その10年後の今、この作品を髣髴とさせるような事がイギリスで起こっているのだそうです。

先月4月7日にロンドン東部の海岸を、ずぶ濡れでさまよっているところを発見された男性は、なんとタキシード姿といういでだち。一言も話さず、随分とおびえている様子だったそうです。保護されて病院に運ばれても不安定な状態が続き、さらに身元を確認できるような所持品も無く、関係者を頭を悩ませていました。ちなみに外国人だから話せないのか?と通訳を何人も呼んで見たけれど、それも無駄だったそうです。

それでも少しでも意思の疎通を図ろうと、紙とえんぴつを彼に渡したところ、彼が描いたのはグラントピアノと椅子でした。そこでピアノのある場所に連れて行くと、今までの難い表情が緩んで、喜んだ様子で2時間以上も引き続けたのだとか。

でもそれ以外の時は、やっぱり相変わらず。喋らず、おどおどとしている彼は、一体何者?

しかしメディア的には話題性たっぷりのため、この「ピアノマン」(病院関係者が命名した彼のニックネーム)は一躍有名人に。長身で金髪、さらになかなかのハンサムとくれば、さらに注目を集めますわ。身元捜査のために設置されたホットラインにも、今日までに400近い問い合わせが届きました。近い将来、家族なり友人なりが彼を見つけ出すことでしょう。

ところで一部の報道では、彼のピアノの腕前はプロ級だともいわれていますが。病院のスポークス・パーソンによると「かなり上手なアマチュア程度」とのことで、今までに演奏した曲のレパートリーも数えるほど。ヘルフゴットの再来……とまではいかないようです。

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