同棲を禁じる法律の合法性を問う。

2005/03/31 12:37 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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アメリカの法律は憲法、連邦法、州法、そして市町村が個々にもつ法律まで実に様々。法律を制定出来る権利が国全体にも、州にも、それこそ人口が数百レベル小さな町にもあるので、現存する法律は相当な数だと簡単に予想することが出来ます。

数が多いだけにその中には施行されてから、それこそ何十年も過ぎ去って、人々から忘れ去られてしまうものも。生活様式が変わり、本来改正または廃棄されるべき法律が、そのまま残ってしまう事もありえるのです。

例えば……

・百科辞典の「エンサイクロピディア」が発禁。家庭で作れるビールのレシピが載っているため(禁酒法時代のなごり?)。−テキサス−

・女性が独身男性を呼ぶ場合に「ミスター」を使わずに「マスター」を使わなければならない(「マスター」=「ご主人様」ってこと!?)。−イリノイ−

・女性の髪はその夫の所有物である(自由に髪型も変えられやしない)。−ミシガン−

・教会に、人を笑わせる目的で偽の髭を付けて行ってはいけない(実際にそんな事した人がいるんだろうか)。−アラバマ−

この他にも時代背景を考慮しても、到底説明出来ないような法律がいくつかありまして。例えば

・クジラ漁は禁止 −オクラホマ−(……オクラホマには海はありません)。

・水中で口笛を吹いてはいけない(違法もなにも、これって可能?)。−バーモント−

・素手で魚を捕らえてはいけない(これまた違法もなにも、かなり難しいと思います)。−カンサス−

・石をぶつけて魚を捕らえてはいけない(同上)。−ワシントン−

と、ざっとインターネットで調べてみただけでも、あるわあるわ奇妙な法律が山ほど(笑)。まあこのような法律は誰も覚えていないことが多く、違反したとしても実際に摘発されることはないそうです。オクラホマでのクジラ漁のように、どう考えても物理的に違反する事が出来ないモノは、もう話にもなりませんし。

ところが、ノースカロライナ州でこの度「未婚で、さらに血縁関係のない異性同士の同居を禁ず」という、200年も前に作られた法律に違反しているとして、仕事を失った女性がいるのです。

デボラ・ホップスさんは元警察職員でしたが、上司に同棲3年目だということを知られ、その時に上記の法律を持ち出されて、結婚するか別居、または他の仕事をするように、と命じられてしまったのだとか。結局同棲相手とはまだ結婚する気がなかった彼女は、3ヵ月後に失職。

その後、デボラさんと米国自由人権協会(ACLU)という団体が、その合法性を疑問視して起訴。この時代遅れの法律を廃棄するように求めているそうです。確かに今の米国文化では、政府が大人のカップルの生活形式に干渉するというのは、逆に個人の自由を侵していると文句言われてもおかしくないです。

ちなみにこの州法ですが、違反すると罰金そして禁固60日が科せられるそうで。驚いた事になんと同じ内容の決まりが他の6州でも定められているんだそうです。さっさと見直しなさいって……。

でも話のネタとして、オクラホマの法律はキープして欲しい(しつこい)。

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