裁判の判決は14か月後、けれど訴えた男性の余命は半年。

2005/03/09 13:37 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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以前からその長期化しがちな審理期間が批判されていた日本の司法制度。しかし平成11年に設立された「司法制度改革審議会」、そしてその後平成15年7月に施行された「裁判の迅速化に関する法律」などによって徐々に迅速な制度なってきたといわれています。

平成13年度の一審裁判の平均時間は民事事件で8.5か月、刑事事件ではもっと短く3.3か月で、この数字は過去を遡ってみると確かに年々減少しているのだとか。将来もっと適切で迅速な裁判が成り立つようになれば、司法はもっと身近な存在になってくるのかもしれませんね。

ところでイタリアの民事裁判は、日本と比べてかなり審理期間が長め。なんと裁判の平均期間は平均して3,041日、8年以上もかかるのだとか!?

そんな司法制度ではありますが、裁判を起こした当事者にしてみれば藁をもつかむ思いなのです。カルメーロ・チサベーラさん(39才)は、10年前にオートバイの事故で半身不随となり、車椅子の生活を余儀なくされました。しかし保険会社は6,000万円あまりの保障に同意。カルメーロさんも不幸中の幸いと、ホッと胸を撫で下ろしたのです。

ところが、この保険金がいつまで経っても手元に届かない! 怒ったカルメーロさんは、保険会社を相手取り迅速な支払いを求めて裁判所に訴えたのです。そりゃ、10年も待てばもう何でもしますよ。

しかし、裁判が遅いことで有名なイタリアの司法制度。こちらに訴えたかといって、直ぐに物事が進むわけでもナシ。カルメーロさんは判事から、判決は14か月後に……と決定を下されました。

まあ審理の平均期間が8年以上ですから、14か月なんてのはかなり早い方なんでしょう。でもカルメーロさんには時間的な問題がありました。彼は事故後から、脊髄内に悪性の炎症が起こしており、最近それが悪化して、致命的になってしまったのです。そしてなんと余命半年と宣言されてしまったとか。

それを説明したのに、裁判所が14か月待てなどというのは酷というもの。保険金を貰って、せめて最後の数か月でもゆったりと暮らしたい……というカルメーロさんの夢は、はかなくも消えてしまいそうですねぇ(涙)。

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