英国のパブ、24時間営業が可能に。

2005/02/12 13:00 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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リキッド・ランチ("Liquid Lunch")という言葉をご存知でしょうか?英国で生活したことのある人、特に仕事を持った経験のある人なら、絶対聞いたことのある言葉かと思います。リキッド・ランチとは、その名の通り「液体の昼食」で、この場合ビールを指しています。英国のパブではお昼時にランチを出す店が多いのですが、それと一緒にビールを飲むことも珍しくありません。中にはもちろんビール「だけ」で食事とするツワモノも(笑)。その後ほろ酔いで仕事に戻っても、別に怒られないんですよね……。

昔どこかで読んだ統計によると、英国人の約3割の会社員が週に数回以上パブでリキッド・ランチを楽しむのだとか。日本やアメリカだったら仕事中に飲酒なんて、クビになっちゃうかもしれないのに(汗)。

何はともあれ、パブというのは英国人の生活に欠かせない交流の場。ロンドンのような大都市では、石を投げれば居酒屋に当たるほど、本当にパブの数が多いのです。普段は遠慮がちであまり多くを語らない性格の彼らですが、お酒の力を借りれば慣れない会話も弾みます。パブで出会って付き合いだしたカップルも沢山いることでしょう。

ところでこのパブですが、実は法律で厳しい営業時間の取り決めがあるのをご存知ですか?古くは1915年に、酒類の販売に時間制限を定める最初の法律が制定されました。その後1988年には現行の午前11時から午後11時までという法律が施行。ちなみに数年前までは、日曜日の午後3時から5時までは、パブはおろかスーパーなどでも酒類の販売が出来なかったほど。これは宗教的な背景から来ている法律なのですが、日曜日は、酒飲んでないで教会行けっ!って意味合いなのでしょうか(笑)。しかし、酒好きにはキビシイ法律です。

しかしこの営業時間の限定法、以前から見直しが検討されていました。11時を過ぎると英国中のパブから、一斉に流れ出てくる酔っ払い。彼らが暴れるなど、深刻な社会問題となっていたからです。そういえば、私も何度か絡まれたことが……。あとこの時間帯に地下鉄に乗るのも勇気がいります。暴れなくても吐く人いるし(笑)。

そしてこの度、こういった路上のトラブルを防ぐことを目的に、政府がパブの営業時間の延長を認める改正法を施行しました。申請書を提出して許可されれば、24時間営業も可能になるのだそうです。

もちろん、そのパブがある地元住民や警察が反対すれば、地方行政機関がストップをかけることも出来るそう。飲酒可能な時間が増えれば、それだけ個人の飲む量が増えてさらに問題になるのではないか、と懸念する人々ももちろんいるでしょうし。そういった人々にも一応配慮した改正法となっているようです。

今年11月からスタートする新営業時間。果たして路上の酔っ払いによるトラブルが減るのか、増えるのか……。ちょっと実際に様子をみていたい気がするのは私だけでしょうか。

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