米FDA、緊急避妊薬の処方箋なし販売を検討。

2005/01/18 12:33 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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緊急避妊薬についてご存知でしょうか。アメリカでは一般に「モーニング・アフター・ピル」と呼ばれていますが、ようするに避妊に失敗したり、まったく避妊をしなかった性交渉の直後に服用することで、望まない妊娠を防ぐ薬です。日本ではまだ一般的ではないようですが、欧米ではすでに避妊薬のひとつとして認知されています。ちなみに避妊成功率は75%。通常のピルと比べると劣りますが、緊急の避妊方法としてはこれが今のところ一番効果的。ふつう事後72時間以内に服用することで、効果が出ると言われています。
 
さて近年では減少しているとはいえ、アメリカでは毎年10代後半(15〜19才)の女性の内、なんと10%近くが妊娠していると言われています。もちろん多くは未婚。8割が望まない妊娠だと言われています。この数字はカナダやイギリスの2倍、日本のほぼ9倍だとか……。

この若年層の妊娠を防ぐために、この国ではいろいろな試みが以前からなされています。そのひとつとして、先に説明したモーニング・アフター・ピルを処方箋無しで一般の薬局で販売してはどうか……という意見が以前から出されており、今回この避妊薬のひとつである「プランB」のメーカーが、正式に米食品医薬品局(Food and Drug Administration 以下"FDA")に申請を出しました。

FDAは食品と医薬品そして化粧品において、その品質や衛生管理などいろいろな規制を行う行政機関です。これらの製品がアメリカでどのように販売・宣伝されるか決め、消費者を保護する権限があります。このFDAの検討会で、早ければ今週内にも「プランB」を一般薬として認めるかどうかが決まるそうです。もし仮にGOサインが出たとしたら、16才以上であれば誰でも薬局でこの避妊ピルが買えるようになるとか。ちなみにフランスなどいくつかの欧米国では、すでにこの緊急避妊薬が薬局で手に入るそう。

しかし安易な避妊法が定着することで、性交渉に対するモラルが低下するのではないか、又は性病に対する予防がおろそかになるのではないか、といった反対派の声も聞こえているのも事実。もちろんこれらは「プランB」という「医薬品の安全性を検討」するFDAにとっては、原則的に該当外の問題です。でも以前これとまったく同じ申請をメーカーがした際には却下されてしまったそうで、FDAもかなりモラルに対して慎重な様子が伺えます。さて、今回はどうなるやら。

個人的には賛成・反対どちらでもないのですが、女性の性に対する選択肢を広げるかどうか、という実にアメリカらしいトピックじゃないかと思いご紹介しました。まあどっちにしろ、ウォール真木には珍しく重めの話題だったということで……(苦笑)。

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