宇宙ステーションの乗組員、5週間のキャンディーダイエット。

2004/12/31 10:43 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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宇宙に有人基地を作るために、日本、アメリカ、カナダ、ロシア、そしてヨーロッパの国々が共同開発を進めている「国際宇宙ステーション」 −International Space Station(ISS)−。大規模な国際プロジェクトとして、メディアでも以前から取り上げられていますので、ご存知の方も多いかと思います。1998年にロシアのモジュール(参加各国が作成し、個々にステーションにドッキングさせる研究実験棟)「ザーリャ」が打ち上げられて、宇宙ステーションの建設が本格的に始まっています。

日本のモジュール「きぼう」も宇宙航空研究開発機構(JAXA)という独立行政法人の元で開発され、すでに機体の組み立てが終わりました。NASAでの性能検査などをパスした後、予定では2006年にもケネディ宇宙センターから最初の部品が打ち上げられるそうです。ちなみにJAXAとは宇宙科学研究所(ISAS)、航空宇宙技術研究所(NAL)、宇宙開発事業団(NASDA)の3機関が統合されて2003年に誕生した研究機関とのこと。

ISSは当初2006年の完成を目標としていましたが、2003年2月のスペースシャトル・コロンビアの事故の影響で大幅に遅れてしまいました。スペースシャトルがステーションの部品などを搬送する役目を担っていたので、これは仕方のないことです。しかし来年春には打ち上げが再開。そして今現在の予定では、宇宙ステーションも2010年に完成を目指しているそうです。

さてこの宇宙ステーションですが、ロシアやアメリカのモジュール内にはすでに乗組員が常務しています。彼らは半年からそれ以上の長い期間任務に付くそうで、もちろんその間は狭い基地内から出ることも、自分の家族の元に週末だからと帰ることも出来ません……。究極の単身赴任です。

そんな過酷な労働条件で、数少ない楽しみと言えば絶対に食事だと思うのですが。なんと最近ISS内で貯蔵食料の不足が発覚。米国、ロシアの乗務員2人は残っていたスナックやキャンディで5週間も食いつなぎをしなければならなかったのだそうです。

アメリカの宇宙飛行士レオニー・チャオさんによると、彼らの前にステーションに滞在していた乗組員2人が、次回の乗組員のために取っておいた食料まで食べてしまったお蔭で、自分たちの食事が不足してしまったとのこと。もちろん食べても問題なかったんですが、それをちゃんと記録書に書いておかないといけない規則があったそうで……。それをしなかったために、レオニーさん達も就任当初は貯蔵食料が足りないことに気が付かず。クリスマス近くになってやっと気が付いたけれども、そりゃ遅いです。近くにコンビニありませんし(笑)。地上400キロメートルの上空で、孤独な上に食糧不足……。そりゃ焦りますわ。

幸いにデザート系のキャンディなどが沢山あったので、カロリー補給にそれを利用。「甘い物ばっかりで大変だったけど、キャンプ行ったみたいでアドベンチャーだったよ」だそうです。私だったらパニクりますが、さすがにいろいろな危機を想定して訓練を受けている宇宙飛行士のお2人。過酷な状況もそれなりに楽しんだ(?)ようですね。

困難な状況も先週の土曜日にやっと改善。無人ロケットが2トンの食糧や水を運んで来たそうで、レオニーさん達は5週間ぶりにまともなご飯が食べられたんだとか。ちなみに無人ロケットは食料の他にも、乗組員の家族からのクリスマスプレゼントや写真なんかも届けてくれたそうです。ちょっとハッピーエンディングですね。

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