12月上旬にシャープ製の「SH901iC」、下旬に富士通製「F901iC」が発売されたものの、11月に発表された5機種がまだ勢揃いしない「FOMA 901iシリーズ」なりが、ASAHIパソコンに気になる記事が出ていたなりよ。「NTTドコモの新端末FOMA901iシリーズの評価が低い。」から始まるこの記事、現在のNTTドコモが抱えるジレンマについて触れられていて、なかなか面白い内容となっているなりね。

「901iシリーズは意欲的な新サービスや新機能が乏しい。実はこれは、携帯電話会社を乗り換えても電話番号を変えずにすむ『番号ポータビリティー』実施予定の2006年前半に向けて、ドコモがあえて力を温存しているためだ」
「ドコモも端末メーカーも、05年末発売の902iの方に大きく開発資源を割いている」
「言葉は悪いが、901iは902iまでの『つなぎ』の端末なのだ」
「今冬のモデルでドコモがあえて力をセーブした理由が番号ポータビリティーなら、auとボーダフォンが目一杯力を注いだ理由も番号ポータビリティーだ」

この記事の中でポイントになってくるのが番号ポータビリティー。そう、電話番号はそのままに、キャリアを変えることができるという、あの乗り換え制度のことなり。現時点でのスケジュールでは、2006年初頭にも番号ポータビリティー制度が導入されると見られているなりが、業界のガリバーであるNTTドコモは顧客の流出を防ぐべく、番号ポータビリティー導入のタイミングで最高の端末を提供しようと考えているなりね。

一方、そのガリバーから顧客を奪おうと虎視眈々と狙っているauやボーダフォンは、番号ポータビリティーが導入される前にブランド力を高める戦略を展開しているため、新サービスや魅力的な端末を相次ぎ投入することで、番号ポータビリティー導入までの一年間で勢いを付けようとしているわけなり。番号ポータビリティーを大きな転換期と捉えているのは3キャリアとも共通ながら、攻め手（auとボーダフォン）と受け手（NTTドコモ）の考え方が全く異なっているなりね。

「902iまでの『つなぎ』」と評された「901iシリーズ」。従来の機種とは異なる、「901iシリーズ」ならではの機能にはどのようなものがあるのかをまとめておくと。

・FOMA初の3Dサウンド化と、進化した3Dグラフィックで臨場感あるコンテンツを提供
・着信メロディの容量が最大20KBから最大100KBに拡大
・着モーションの容量が最大300KBから最大500KBに拡大
・テレビ番組表アプリ「Gガイド番組表リモコン」をプリインストール
・カメラ機能はすべて200万画素クラス
・iモードの添付容量が最大500KBに拡大（送信時）、200万画素クラスの写真も貼付可能に
・Flashの機能がアップ
・音楽再生機能を搭載
・ツインスピーカーを搭載
・ウイルスチェックを行う「セキュリティスキャン」機能を搭載

コ○助も「901iシリーズ」の発表会の席にいたなりが、発表会が始まる前に配られた資料をパッと見た時点で「このシリーズの最大のウリが3Dサウンドと3Dグラフィックか……」と、あちこちからため息混じりのコメントが聞こえてきたなりよ。発表会の会場に踊っていた「3D」の文字が、なんだか寂しく見えたなりね。

そんな空気は誰もが感じていたようで、ASAHIパソコンの記事にもあるなりが、質疑応答の際に記者の中から「他社の冬商戦モデルと比べて、901iシリーズは小粒ではないのか？」という質問が飛び、発表会を仕切っていたNTTドコモのプロダクト＆サービス本部マルチメディアサービス部長の夏野剛氏の顔が本当にこわばったように見えた瞬間があったなり。もちろん、夏野氏はのらりくらりと小粒であることを認めることは無かったなりが、記者側にいた人たちと、NTTドコモ側の認識に相当なズレがあるなぁ、という感じは伝わってきたなりね。

個人的には、「901iシリーズ」共通のサービスとしては全く目新しさを感じないものの、それがイコール個々の端末が悪い、というようには思わないなりね。斬新さは無いなりが、「F901iC」なんかはよく出来た端末だと思うし、これから発売される三菱電機製のスライドケータイ「D901i」も軽く触った感じではシャキーンという感じが心地よくて、そう悪くなかったなりよ。

なので、NTTドコモユーザーはそう悲観することも無いとは思うなりが、今年はかなりの勢いを感じたauに比べて停滞感が漂っているのは確かなりね。前述の番号ポータビリティーとの絡みから、本当にNTTドコモが「902iシリーズ」投入まで体力を温存するのであれば、来年も引き続き、怒濤のサービス攻勢＆魅力的な端末を投入するであろうauをうらやむNTTドコモユーザーが増えそうな気がするなり。

「901iシリーズ」、皆さんの目にはどう映っているなりか？　来年もNTTドコモは苦しい戦いを強いられることになるなりかねぇ。