F1ジャガーを買収した会社「レッドブル」とは。

2004/11/16 05:28 Written by コジマ

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本業の不振やチーム運営コストの高騰を理由に、参戦からわずか4年で撤退を表明していたF1のジャガー・レーシングチーム(英国)。15日、親会社の米フォードから、オーストリアの飲料メーカー、レッドブル社への売却が正式に発表され、来期も同チームが出場することが決定したのだ。日本では馴染みの薄いレッドブル社。いったいどんな商売をしている会社なのか…。

F1が好きな人なら見かけたことがあると思うけど、レッドブル社はザウバー・ペトロナス(スイス)のスポンサーであり、オーストリア出身のクリスチャン・クリエン選手が所属するジャガーにも多額の資金を提供している会社なのだ。以前はオレンジ・アロウズ・アジアテック(英国)のスポンサーもしており、また、F1以外にも多くのモータースポーツに広告を出資しているのだ。

ぼくは中学生の頃、熱狂的なF1ファンだったのだ。アイルトン・セナ選手やアラン・プロスト選手をはじめ、大好きなネルソン・ピケ選手、ナイジェル・マンセル選手など個性豊かな面々が活躍していた時代。リカルド・パトレーゼ選手なんて濃ゆ〜いキャラクターの人もいたっけ。その後、1991年ピケ選手と中島悟選手の引退(この年、ミハエル・シューマッハ選手とミカ・ハッキネン選手がデビュー)、92年ホンダ撤退、93年プロスト選手引退、そして94年のセナ選手の死をきっかけに、だんだんとF1から遠ざかっていたのだ。

それでも、テレビをつけてF1がやっていれば眺めてたし、ホンダの復帰や片山右京選手、中野信治選手、高木虎之介選手、そして鈴木亜久里選手以来14年ぶりに表彰台に上がった日本人・佐藤琢磨選手の活躍なんかも興味を持って見ていたので、レッドブル社の赤い牛のマークは「なんだ? 牛証券(注:青い牛のマークのメリルリンチ証券のこと)がF1のスポンサーやってんのか?」なんて、少しは印象に残っていたのだ。

前置きが長くなってしまったけど、そのレッドブル社、「レッドブル」というリポビタンDのような栄養ドリンクを販売している欧米や東南アジアでは超有名な会社だそうで、全世界で年間10億本以上売り上げているそうな。しかも社員はたったの1850人。うお、利益率高そう。

1982年、社長がアジア旅行したときに、香港のマンダリンホテルで栄養ドリンクを見つけ、「おっ、これってウチのほうにないじゃん」と欧州で売ったら大ブレークしちゃったそう。ただそれだけ。うーん、隙間を見つけるのが大事。創造はしてないけど、それもアイディアなのだ。「レッドブル」の成分は日本で売っている栄養ドリンクと似ているものの、内容量が250ミリリットルと多い。また、シュガーフリーも出ているとのこと。

このレッドブルの主成分であるタウリンが雄牛から発見されたことから、「レッドブルは牛の精液を原料にしてる」なんて噂がまことしやかに囁かれたそう。その噂と共に米国に輸入され、「ちょっとキケンな飲み物」として、ウォッカで割った「ウォッカ・レッズ」など、各種リキュールでつくったカクテルがナイトシーンで人気を博しているそうな。今度日本の栄養ドリンクでつくったカクテルでも飲んでみようかなあ。

うん? あるホームページには、「2001年にスエーデンで『ハードなワークアウトをしてからレッドブルを飲んだ後』に1人、『レッドブルとアルコールをミックスして飲んだ後』に2人、計3人が死亡した。」なんて出てるのだ。もしかして、栄養ドリンクと酒って混ぜたらヤバイのかなあ。それとも、「レッドブル」がホントにキケンな飲み物なのかも。

さて、そのレッドブル社、モータースポーツ・アドバイザーに元F1ドライバーのヘルムート・マルコ氏が就いており、豊富な資金と同氏のコネクションを駆使して社長のお気に入りのドライバーを次々にF1へねじ込むなど、あまり評判は芳しくない。関心は薄いものの元々は大好きなF1、実力は多少劣ってもピケ選手やマンセル選手のような強烈な個性を持った選手が出現すれば、またF1が面白くなるかも(2人は実力もピカイチだったけど)。ぜひとも社長には、そういう選手をプッシュしてほしいのだ。

ちなみに、同時に売り出されていたフォード出資のエンジンメーカー・コスワースも、「チャンプカー」の愛称で知られる米国カートレースの経営者に売却されたことによって、コスワースエンジンを使っていた3チームのうちジャガーとミナルディ(イタリア)は来期も同じエンジンを積めることになったのだけれど、ジョーダン・グランプリ・チーム(英国)はトヨタとの契約を交わしたのだ。今年も成績が振るわなかったトヨタエンジン。これが吉と出るか凶と出るか。また、ジャガー・レーシングチームのラリー部門は縮小はするものの撤退はしないそう。

環境問題が叫ばれるなか、肩身の狭いモータースポーツ。いつかはなくなる日が来るのかなあ。たしかに“ムダ”ではあるけれど、それはそれで少し寂しいのだ。

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