豪州の「ドクター・デス」が自殺講座を企画。

2004/11/10 02:34 Written by コジマ

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「ドクター・デス」といっても、元全日本プロレス三冠ヘビー級チャンピオンのスティーブ・ウィリアムス選手でも、薬害エイズ問題で有名な安部英(たけし)帝京大学元副学長でもない。ましてや「ドクターです。」と自己紹介しているわけでもなく…、ってしつこいのだ!

オーストラリアで安楽死グループ「エグジット・インターナショナル」を主宰している「ドクター・デス」ことフィリップ・ニチュケ氏が、同国内で自殺講座を開くことを発表したのだ。開催日や場所は明らかにしていない。

ニチュケ氏は、今年の1月に自殺した英国の「ドクター・デス」ハロルド・シップマン氏(モルヒネで215人を殺害)のように殺人を目的にしている訳ではなく、1996年、つらい闘病生活から開放するための安楽死(自殺幇助)を4人に行ったため、この異名が付いたのだ。現在は連邦議会の法案により無効になったけど、当時は合法だった。

「自殺講座」なんて聞くと、有害図書に指定された「完全自殺マニュアル」が騒がれたときに抱いた強い嫌悪感を抱いてしまいがちだが、CNNに掲載されている参加希望者の声を読んで、イメージが少し変わったのだ。
「ニューサウスウェールズ州のジョン・エッジさん(68)は、AP通信に対し、自殺するつもりはないが、万が一必要になった時のために、確実に死 ねる薬を手元に持っていたいと動機を説明した。 『私は、植物人間にはなりたくない。もし万が一そんなことになるなら、できればそうなってしまう前に、自分で何とかする手段を、確実に手にしておきたい』とエッジさんは言う。エッジさんはリウマチ性関節炎を患っている。」

たしかに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や多発性硬化症(MS)などの植物状態になることがほぼ確実な疾患にかかったとき、一つの選択肢として持ちたくなるかもしれない。また、こういう選択肢があると知ることによって、気持ちの安定が図れることも否めないのではないだろうか。ちなみに、現時点で30人が参加を希望しているそうな。

それでも「確実に自殺するため、致死率のきわめて高い錠剤を作る方法を教える。普通の店で一般人が買うことのできる材料を、どう調合すれば「自殺薬」になるかを、具体的に指導する」、「セミナー参加者が各自が地元で安楽死教室を開き、錠剤づくりの知識を大勢に広めることを目的としている」なんて聞くと、はたしてこの講座がよいのか悪いのかわからなくなっちゃうのだ。

オーストラリア連邦議会はニチュケ氏の動きを牽制するように、来年3月にこうした自殺教唆の集会を禁止する法案を成立させる見込みだという。同氏は3月前に講座を開講する予定だそう。「自殺のすすめ」ではなく、苦しんでいる人の助けになるのならば開催してほしいけど…。

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