野菜持ち逃げの容疑者を逮捕、「高くて買えない」。

2004/11/01 04:16 Written by コジマ

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31日に、鹿児島の野菜無人販売所から菜っ葉6束を持ち逃げしたとして、宮崎県に住む男2人が逮捕されたのだ。

十数件の被害届けを受け、鹿児島県警の捜査員が張り込みをしていたところ2人が現れて犯行に及び、窃盗容疑で現行犯逮捕となった。
「自分たちで食べるため。今は高くて買えません」と動機を述べた2人だけど、この事件はじわじわと高騰してきている野菜価格を如実に表しているのだ。

先日、スーパーに行ってびっくり。レタスが1玉500円近くするではないか。よく見てみると、レタスだけでなくホウレンソウやネギ、キャベツなどが軒並み高騰している。安いのでよく買うニラも夏には100円前後だったのが、近頃は160円くらいするのだ。

総務省が先月29日に発表した東京都区部の消費者物価によると、相次ぐ台風・長雨の影響を受けて生鮮野菜が前年同月比で28.6%、前月比で19.5%上昇したそうな。上昇幅の大きいものとして、レタス(140.8%)、ホウレンソウ(77.3%)、ネギ(68.9%)が挙げられている。うーん、やはりレタスの高騰は、感覚だけじゃなく統計的にも異常さが如実に示されているのだ。

この状態は11月も続く見通しで、31日に発表された第一生命経済研究所の試算では、「野菜の価格高騰で、今年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)が約2000億円減少する」(asahi.comの記事より)と、野菜高騰が経済へ深刻な影響をもたらす可能性があることを警告している。

原油高に加え、地震の影響で新潟産のコメの価格が上昇することが考えられる(コメ自体は前年同月比2.7%下落)。原価の高騰により、生産者はギリギリの価格で市場に出すものの、そのものの値段が高いために消費が冷え込むという、イカンともしがたい状況になっちゃうのではないだろうか。不況の出口は、見えそうで見えないのだ。大手スーパーや百貨店で安価な輸入野菜を試験的に販売しているそうだけど、これじゃ国内の生産者がよけい苦しくなるだけなのだ。

今年、列島を襲った天災は、被災地の住人でなくてもじわじわとその影響を被りつつある。だからといって、ドロボウしてはいけないのだ。つらいのは生産者もいっしょ。盗むんだったら買わないほうがまだよいのだ。

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