マイケル・ムーア監督の映画「華氏911」が空前のヒット。

2004/06/30 05:12 Written by コジマ

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「過激な映画にはかかわりたくない」とのマイケル・アイズナーCEOの意向によるウォルト・ディズニー社の配給中止を皮切りに、カンヌ国際映画祭での25分にわたるスタンディングオベーション、そしてパルムドール受賞、暴力シーンがないのにR指定を受けるなど、話題にこと欠かなかった「華氏911」(マイケル・ムーア監督、原題:FAHRENHEIT 9/11)が25日に全米で公開され、27日までの3日間で2390万ドル(約26億円)を売り上げ、全米ランキングにトップに立ったのだ。ドキュメンタリー映画が週末売り上げ首位に立つのは史上初で、同ジャンルの映画の総興行収入でも過去最高を記録したのだ。

「華氏911」は23日にニューヨークの2館で、25日に全米868館で公開が始まった。868館上映というのは通常の作品の3分の1だそうで、1館当たり平均値(館アベレージ)は2万5000ドルになり、大ヒット映画「ハリーポッターとアズカバンの囚人」(アルフォンソ・キュアロン監督、原題:Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)の2万4000ドルを抜くという記録を樹立しているのだ。また、この3日間で、同監督のアカデミー賞受賞作「ボウリング・フォー・コロンバイン」 が9か月かけてあげた2160万ドルを抜いてしまった。実際、「5回の上映はすべて完売で、入場できずに肩を落として帰る人々が目立った」という人気ぶりなのだ。

この結果に対し、ムーア監督は「度肝を抜かれた」とコメントしているそう。

意図してかしないでか、公開前の話題づくりも完璧だった同作品だけど、米国民のこの映画、ひいてはブッシュ政権への関心度の高さがうかがえるといっては過言だろうか。
「こんなに一体感を感じた映画は初めて」
「いろいろ知らなかったことも多く、目が開かれた思いだ」
「暴力シーンがたくさんある映画も多いのに、なぜこの映画がR指定になるのかわからない」
「あのような問題を映画で公にすることは良いことだし、それを解決しようとする監督の姿勢にとても共感します」
(以上、asahi.comより)
公開前の「米政府による妨害」 と相まって、米国民の問題意識は確実に芽生えているのだ。

ムーア監督の作品は、「ボウリング〜」とテレビシリーズ「マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人」(原題:Awful Truth) を見たけど、体制に対する怒りを、直接的ではなくウィットとユーモアに包んで楽しませる手法は、ホントに感服してしまったのだ。突撃インタビューされる側も「怒ったら負け」みたいな状況に追い込まれてるし。日本でもこういった感覚を持ったドキュメンタリーの作り手の出現を願ってやまないのだ。

それにしても、英語版公式サイトのトップページの写真はイカす〜!

う〜ん、8月の公開まで待てない、待ち遠しいのだ。

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