想い出の映画館、「BOX東中野」閉館。

2003/04/27 08:43 Written by コ○助

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東京を走る中央線の各駅停車に乗り、新宿から西に向かって約5分。小さな街、東中野に1994年にオープンしたのが単館の映画館「BOX東中野」だったなり。

コ○助は家から「BOX東中野」まで、電車や徒歩を含めても20分弱で行くことができるため、以前からよく足を運んでいたなりよ。上映されるラインナップはかなりマニアックで、独自色の強い作品が上映されるのが特徴。特にドキュメンタリー映画の上映が頻繁で、ドキュメンタリー映画が大好きなコ○助にとっては、数ある東京の映画館の中でも、欠かすことの出来ない映画館のひとつだったなり。

その「BOX東中野」、多くの映画ファンに惜しまれつつも4月25日をもって閉館してしまったなりよ。詳細な理由については分からないなりが、恐らくは他の閉鎖していく単館映画館同様、経営的な厳しさ故の閉館なのではないかと。正直、コ○助はショックが大きすぎてコメントのしようが無いなりが、開館から9年間、たくさんの素敵な作品を有り難うと言いたいなり。

コ○助が「BOX東中野」で観た作品で最も印象に残っているのは「ミル・マスカラス〜愛と宿命のルチャ」というメキシコ映画。1998年頃のことなりが、その日高校時代の友人から「マスクナイトに行かない?」と誘われ、それが何なのかも分からずに「BOX東中野」に向かったことがあったなり。行ってみるとそこにはプロレスのマスクを被った人たちがゾロゾロと。当時のコ○助は「ミル・マスカラス」「ルチャ」という単語がいったい何のことを指すのかサッパリ分かっていなかったので、「BOX東中野」で何が行われようとしていたのか、どんな作品が上映されるのか全然予想もできないでいたなりね。なので「BOX東中野」に到着した時に驚いたこと驚いたこと(笑)。だってマスク被っている人だらけなりよ。要はこの映画、ミル・マスカラスというプロレスラーを中心に据えたプロレス娯楽作品だったわけなりが、この「マスクナイト」と呼ばれた上映会ではマスクを被っていると入場料が割り引きになるサービスがあったなりね。なかなか粋な上映会だったなり。

あとはやっぱり9時間半に及ぶ超大作ドキュメンタリー映画「SHOAH」。「SHOAH」は何度かお話したことがある、アウシュビッツを題材にしたクロード・ランズマン監督の作品なりが、これも「BOX東中野」でオールナイト上映会で観たなりよ。作品の内容に圧倒された9時間半だったなりが、観終わった後の腰と尻の痛さ、そして映画館を出た時の解放感が今も忘れられないなり(笑)。

オウム真理教を追ったドキュメンタリー「A」(森達也監督)、天安門事件を追ったドキュメンタリー「天安門」を観たのも「BOX東中野」だったなり。あぁ、本当にいろいろなドキュメンタリー作品を観ることができた映画館だったなりね。悔やまれるのは今年上映されていた「チェ・ゲバラ 人々のために」と「B-52」、「チョムスキー 9.11」の3本を見逃してしまったこと。やはり観たいと思った時に観に行くべきだったなり。むむむ。

ドキュメンタリー映画は興行的に大きなヒットを飛ばすようなものではない(ボウリング・フォー・コロンバインは例外的)ので、なかなか上映される映画館が少ないのが現状。それだけに「BOX東中野」の閉館は本当に悔しいし、残念だし、絶対にまたどこかで復活して欲しいと思うなりよ。良いものが消えていく悲しい現実を受け止めなければならないなりよね。

世間では、スクリーン数がグッと増え、興行成績の軒並み伸び続けていることから映画界は好況に見舞われていると言われているなりが、その影で消えていく単館の映画館がなんと多いことか。こういった閉館が続かないようにするためにも、大作系が上映されるような映画館だけでなく、マニアックな作品をバンバン上映しているような個性的な映画館にも、ぜひとも足を運んでみて欲しいものなり。

それにしても「BOX東中野」の閉館、残念無念。

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