「オトコ香る。」が開発された経緯は、以前にもご紹介したとおり、女性がターゲットの「フワリンカ」を発売したところ、男性からの問い合わせが殺到したため。においに関心を持っている男性がいかに多いかが分かるのだ。単にパッケージを変えただけでなく、滋養・強壮に優れたマカを配合するなど、男性向けにきちんと作り直している。「オトコ香る。」が発売と同時に飛ぶように売れたことからも、男性が女性向けの「フワリンカ」を買うのに抵抗があったことが分かるのだ。この辺は、かつては女性用しかなかった整髪料や制汗スプレーなどの商品の動きと類似しているのかもしれない。
また、日傘も男性向けのものが発売され、女性向けの売り上げを上回るほど好評だという。「男の日傘 サラクールフォーメン」を発売している「心斎橋みや竹」の店主よると、なんでも、男性にも紫外線から肌を守ろうとする意識が出てきたそうで、外回りの多い営業マンによく売れているという。日傘を持つスーツを着た男性、個人的にはあまりマネをしたくない格好なのだけど、売れているところをみると需要が多いのも事実。こちらも、女性向けだと手が出なかったものに「男」が付くことによって抵抗感がなくなったため、ブレイクしたのだろう。
一方、女性をターゲットにしているのに「男」が付いてブレイクしているものがある。その1つが、「男前豆腐」。奇抜なネーミングもさることながら中身もしっかりとおいしい豆腐で、ブレイクするのもうなずけるのだ。日経MJ(日経流通新聞)の「2006年上期ヒット商品番付」で「東前頭」に選ばれるほどの人気ぶりで、おもに女性から人気だそうなのだ。男前豆腐店の公式サイトもかっちょいい作りで、テーマ曲とともに豆腐のイメージを一新している。
また、女性が男性の気分で食べたり、彼に食べさせたいというコンセプトで開発されたという江崎グリコの「メンズポッキー」も紹介。こちらは1996年秋に発売と、生き残りが難しいお菓子業界のなかでロングセラーを誇っているのだ。
こうしたブレイクについて、J-CASTニュースでは「男性のファッション意識の高まり。そして、女性に「おとこ」のイメージが意外なことに好評なこと。この二つがヒントに挙げられそうだ。 」と分析している。興味があるけど女性ものを買うのは恥ずかしいという男性と消費が元気な女性をターゲットに、「男」をアピールすることがヒットにつながる要因なのかも。女性化している男性、男性化している女性という社会性も反映しているのだ。そういえば、一部の男性に人気があるという女性用下着(収集の意味ではない)、「男のブラジャー」なんてものが発売されたりして。