■ 2002年05月31日 (Fri) さあ、2002年サッカーW杯韓日大会、開幕なり。 日本で開会式があるわけではないので、開幕についてイマイチ関心が低いような印象は否めないなりが、今日はこの話題に触れないわけにはいかないなりよね。 日本と韓国、2国での共同開催。 W杯史上初となる共同開催に至る過程を振り返るには、まず1989年までさかのぼる必要があるなり。 この年、FIFAのジョアン・アベランジェ会長(当時)が、W杯のアジア開催論を唱えたのが全ての始まりだったなり。 当時日本はバブル景気も収束に向かい始めていた頃だったなりが、アベランジェ会長はW杯スポンサーの約40%を占めていた日本企業による「ジャパンマネー」に期待し、それまでのW杯開催国である欧米に比べて格段にサッカーのレベルが下がるアジアでの開催をあえて主張。 これにより、日本と韓国の一騎打ちによる史上最大規模とも言われる招致合戦がスタートしたわけなり。 開催国が決定したのは1996年の5月31日。 1996年時点でW杯4回出場を果たしていた(54年スイス大会、86年メキシコ大会、90年イタリア大会、94年アメリカ大会)「アジアサッカーの盟主」韓国に、サッカーにおいては韓国に後塵を拝すること多々、1996年時点でW杯未出場の日本。 サッカーイベントであるW杯の招致は韓国有利で進むかと思いきや、日本も底力を発揮し、招致活動は全くの五分のまま1996年春に突入。 この時点で若干「日本有利」の情報が流れ始め、韓国側がかなり焦りを見せ始めていたなりよ。 例えばこんな話があるなり。 1996年4月、自民党の山崎拓政調会長を団長とする与党訪韓団が韓国外務省を訪れた時のこと。 韓国の孔魯明外相(当時)が懇親会の中で日韓共同開催の必然性、重要性を強く訴えてきた、と。 表向き韓国メディアは「招致活動は韓国の勝利」「韓国有利」一色だったと言われているなりが、実情は全く逆の展開だったため、国の威信に賭けてW杯招致の失敗が許されない韓国としては外務大臣が日本の国会議員に「お願い」をするほど必死だったというわけなり。 それほど焦っていたなりね。 そして1996年5月31日、運命の日。 FIFAが定めた2002年大会の開催要項には「一国開催」が明記されていたため、事前情報で有利が伝えられていた日本は勝利を確信し、劣勢が伝えられていた韓国は一縷の望みをかけてその日を迎えていたなり。 開催国選出はFIFA理事会(アベランジェ会長と8人の副会長、理事12人の計21人で構成)の投票によって決定されるなりが、事前の情報では南米は日本を、北米・中南米は韓国を支持、アジア・アフリカの票数はほぼ互角で、欧州の理事が握る8票の行方が勝敗を決すると見られていたなり。 しかしながら、将来的な欧州でのW杯共催の可能性を模索したいとの考えを持った欧州サッカー連盟のレンナート・ヨハンソン会長(FIFA副会長)の日韓共催案に欧州理事(8票)が支持を表明。 この共催案に今度はアフリカ理事(3票)が支持に回るとの情報が流れたことから、急転日韓共催案が有力となり、最終的には全会一致で日韓共催案が可決されたというわけなり。 高騰する大会運営費を二国で分散させるという共催案に流れて行ったのは、ある意味仕方のないことだったのかもしれないなりね。 コストを分散させ、スマートな大会運営を目指す「21世紀型のW杯」を模索する上でも、「アジアという実験場で一度共催をしてみるのがベスト」との思惑が働いたのかもしれないなりね。 Jリーグの川淵三郎チェアマンは「共催が決まった時には漠然と悔しかった」と語ったと言われているなりが、日本のムードはその言葉が全てを代弁しているかのような落胆に包まれた雰囲気。 一方の韓国は逆転勝利を掴み取ったかたちとなったので、日本とは対照的な雰囲気だったように記憶しているなり。 あれから早6年。 もう、本番がやって来たなり。 この6年間、日本と韓国の間にはW杯に関連すること、関連しないことを含めて様々な摩擦や軋轢があったなりが、それでもW杯開催直前のムードはなかなか良いムード。 サッカー、そしてW杯には未だに全く興味も関心もないという人が意外と多いのも事実なりが、それでもこのW杯を機に大量に日本に流入してきた韓国の文化には触れている人が多いのもまた事実。 もしW杯共催が無かったら恐らく日本では未だに知らなかっただろうな、ということが多々あるなりよね。 そういった文化交流が促進されただけでも、このW杯共催には多大な意味があったのではないかと。 この文章を書いている今、奇遇にも韓国出身歌手のBoAがホストを務め、日本・韓国・アメリカのヒットチャートを紹介する日本テレビ系深夜番組「AX01」を見ているというのも、W杯共催が無ければ有り得ないシチュエーションだったのかもしれないなり。 恐らくは生きているうちに二度と日本では開催することは無いであろうW杯。 せっかくの歴史的イベント、じっくり見ておかないともったいないなりよね。 W杯気分では無い人もまだ間に合うなり。 テレビや雑誌、インターネット、そして街の雰囲気を通して徐々にW杯気分を盛り上げましょうなり。 ちなみに、W杯に全く興味を持っていなかったコ○助の友人の一人は、ここ数日首都圏の通勤電車内に外国人の人がグッと増えてきたことで「あぁ、W杯がもうすぐなんだ」と体感し、気分が乗って来たのだとか。 電車に乗ると外国語の案内板が掲示されていたりして、それだけでも普段とは違った雰囲気。 さあ、そんな身近なところからでもぜひW杯気分を楽しみましょうなり。
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