TikTokやインスタグラムの過度な利用により、脳の機能が損なわれるという。

71件の研究におよぶ9万8000人以上の参加者を対象とした調査で、両プラットフォームのショート動画を視聴し過ぎることで、個人の認知機能が損なわれることが判明した。
研究チームは「刺激が強く、テンポの速いコンテンツに繰り返し触れることは、習慣化に寄与する可能性があります。これによりユーザーは、読書、問題解決、深い学習といったより遅く、より労力を要する認知タスクに対して鈍感になるのです」と説明。脳の退化を引き起こす可能性を示唆した。
そして、ショート動画の利用が「認知機能(注意力、抑制制御、言語、記憶、作業記憶)の低下および身体イメージと自尊心を除くほとんどのメンタルヘルス指標と関連している」と同研究は結論付けている。
さらに、こういったコンテンツの消費と、ストレスや不安の増大を含むメンタルヘルスへの悪影響の関連性について研究チームはこう指摘している。
「感情的に刺激的な新規コンテンツをスワイプし連続的に受け取るサイクルがドーパミンの放出を引き起こし、習慣的使用パターンとデジタル交流への感情的依存を助長する強化ループを形成することが提唱されています」
「この習慣的な関与が、ストレスや不安の増大とも関連している可能性があります。一部のユーザーは、オフライン環境で感情を切り離し調節することが困難だと報告しているからです」
同研究はショート動画の過剰な視聴が、社会的孤立や全体的な生活満足度の低下に寄与する可能性についても示唆していた。
こういったテクノロジーによる認知機能低下の可能性についてはほかにも、マサチューセッツ工科大学の研究が指摘しており、ChatGPTを使って論文を書いた学生の脳の活動が著しく低下し、自分が書いた文章を本人が一文も思い出せなかったことが判明している。